公開日:2015年12月15日

保育園・保育所―アレルギー食の対応の方法

目次

はじめに

保育園・保育所での食事に関する問題点として、偏食・好き嫌い・食べ方のマナーなど様々な課題がありますが、食物アレルギーを持つ園児への対応は、大きな課題の一つです。

保育園・保育所でお子様をお預かりするということは、同時にお子様の命もお預かりしています。

特にアレルギー問題では、一歩間違えをしてしまうと大変危険であり、命に係わる事故にも繋がってしまいます。

近年、食物アレルギーを持つお子様が増加傾向にあり、その種類も様々です。そして、保育園・保育所での管理不足・確認不足などで誤飲・誤食の事故も増加しています。

お子様をお預けしているお父様・お母様方に安心していただけるよう、保育園・保育所では完璧な管理の中、安心・安全な食事を提供することが大切であるといえます。ここでは、保育園・保育所でのアレルギー食の実質的な対応方法を紹介したいと思います。

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保護者・園長・調理担当で面談を行う。

まずアレルギーを持つ園児の保護者様、園長、調理担当(調理師・栄養士の代表)で面談を行い、園児のアレルギー情報をしっかりと共有することが第一前提といえます。

何のアレルギーがあるのか・どの程度まで食べられるのか(例:たまごアレルギーの場合、マヨネーズは不可だがハンバーグのつなぎ程度のたまごは可など)、アナフィラキシーがあるのかなど、しっかり話し合うことが大切です。

その際、保育所生活管理指導表などを用いて、しっかりメモをします。

面談が終了したら、その 保育園・保育所で勤務する栄養士 (社員・パート全員)で情報を共有します。そこで勤務する全員が情報を把握し、園児のアレルギー情報を知らない人がいないようにします。

献立表の管理。

園の方針にもよりますが、翌月の献立表を月末に保護者の皆様に配布する園が多いかと思います。

その際、アレルギーを持つ園児の保護者様には献立表を2枚お渡しします。

一枚はご自宅用、もう一枚は、保護者様がアレルギーのある食材をペンなどでマーキングをしてもらい、園で保管します。

お預かりした献立表は、園でもう一度確認をし、調理手配表などと参照しながら、どの料理にアレルギー食材が入っているかを調理担当が確認し、料理名をマーキングします。

この献立表を、この園児がいる部屋の目立つところに貼り出し、毎回、食事の前にアレルギー食材が入る料理があるかないかを職員全員が確認します。

確認をしてから食事を始めることによって、誤飲・誤食を防ぎます。

園で保管する献立表の例(保護者様にアレルギー食材をマーキングしてもらった献立表)

園で保管する献立表の例(保護者様にアレルギー食材をマーキングしてもらった献立表),献立表,献立名,材料名,熱や力になるもの,血や肉や骨になるもの,体の調子を整えるもの,おやつ,中華丼,にら玉汁,はりはり漬け,果物(りんご),米/油/ごま油/片栗粉/砂糖/白ごま(いり)/さつまいも,牛乳/豚肉/たまご/わかめ/塩昆布,白菜/にんじん/えのきたけ/たまねぎ/小松菜/にら/切干大根/きゅうり/りんご,ふかし芋,牛乳,きつねうどん,野菜の天ぷら,果物(バナナ),干しうどん(乾)/砂糖/薄力粉/油/米,牛乳/鶏もも肉/油揚げ/たまご/ツナ缶/焼き海苔,にんじん/たまねぎ/小松菜/ねぎ/れんこん/かぼちゃ/バナナ,和風ツナおにぎり,麦茶,米飯,けんちん汁,ちゃんちゃん焼き,中華きゅうり,米/さといも/バター/砂糖/ごま油/食パン/グラニュー糖,牛乳/木綿豆腐/豚肉/鮭/みそ/きな粉(大豆),にんじん/だいこん/ごぼう/ねぎ/たまねぎ/キャベツ/しめじ/きゅうり,きな粉トースト,牛乳,麦ごはん,厚揚げのそぼろ煮,みそ汁(さつまいも),ひじきの和え物,果物(オレンジ),米/押し麦/砂糖/油/片栗粉/さつまいも/ごま油/白ごま(いり)/薄力粉,牛乳/厚揚げ/豚ひき肉/みそ/ひじき(乾)/納豆/たまご/さくらえび/あおのり/かつお節,にんじん/たまねぎ/えのきたけ/さやいんげん/ごぼう/小松菜/コーン/オレンジ/キャベツ,納豆のお好み焼き,麦茶,ロールパン,かぼちゃのスープ,キッシュ,トマト,ロールパン/砂糖/油,牛乳/豚ひき肉/ハム/たまご/ピザ用チーズ/生クリーム,かぼちゃ/たまねぎ/にんじん/ほうれん草/しめじ/トマト/りんご/バナナ/みかん(缶詰)/いちご,フルーツポンチ,牛乳,米飯,みそ汁(麩としめじ),豚じゃが,キャベツのお浸し,米/麩/じゃがいも/しらたき/油/砂糖/バター/プレミックス粉(ホットケーキ用),牛乳/みそ/豚肉/かつお節/たまご	にんじん/しめじ/こねぎ/たまねぎ/さやえんどう/キャベツ/きゅうり/りんご,りんごのケーキ,牛乳

    園児の氏名・何のアレルギーであるかを必ず記載します。

    保護者様にマーキングしていただいた献立表は、調理担当でもう一度確認しましょう(マーキングし忘れがないか)。

    何の料理にアレルギー食材が入っているかは、園で調理担当が調理手配表などを見てマーキングします。

    園で保管する献立表は各部屋にもコピーして貼り出しします(食事前に確認できるよう)。

    この園児はたまごアレルギーですが、「たまご」の記載がなくても「ロールパン」や「プレミックス粉(ホットケーキ用)」のようにたまごを原料に含む食材もあります。成分表示をしっかり確認しましょう。

調理手配表の管理。

調理担当が調理の際に使用する書類として「調理手配表」などがあります。

調理スタッフが複数人いる場合、調理する前に全員で確認をしてから調理に取りかかりましょう。その日のアレルギー食材が入る料理名、どこにアレルギー食材を使用し、代替食材は何かをマーキングやメモによって明記しておきます。

調理手配表の例

調理手配表の例,調理手配表,料理名/食品名,3歳以上児,3歳未満児,使用量,使用量,調理指示,≪中華丼≫,米,豚肉,はくさい,にんじん,えのきたけ,たまねぎ,小松菜,油,ごま油,中華だし,食塩,片栗粉,≪にら玉汁≫,たまご,たまねぎ,にら,油,わかめ,食塩,しょうゆ,だし汁,≪はりはり漬け≫

複数のアレルギーを持つ園児に対しての注意。

一つだけでなく、複数のアレルギーを持つ園児も少なくありません。その場合、献立表と調理手配表の確認がより一層大切になってきます。

複数のアレルギーを持つ園児の献立表の例

複数のアレルギーを持つ園児の献立表の例,献立名,材料名,おやつ熱や力になるもの,血や肉や骨になるもの,体の調子を整えるもの中華丼,にら玉汁,はりはり漬け,果物(りんご),米/油/ごま油/片栗粉/砂糖/白ごま(いり)/さつまいも,牛乳/豚肉/たまご/わかめ/塩昆布,白菜/にんじん/えのきたけ/たまねぎ/小松菜/にら/切干大根/きゅうり/りんご,きつねうどん,野菜の天ぷら,果物(バナナ),干しうどん(乾)/砂糖/薄力粉/油/米,牛乳/鶏もも肉/油揚げ/たまご/ツナ缶/焼き海苔,にんじん/たまねぎ/小松菜/ねぎ/れんこん/かぼちゃ/バナナ,米飯,けんちん汁,ちゃんちゃん焼き,中華きゅうり,	米/さといも/バター/砂糖/ごま油/食パン/グラニュー糖,牛乳/木綿豆腐/豚肉/鮭/みそ/きな粉(大豆),にんじん/だいこん/ごぼう/ねぎ/たまねぎ/キャベツ/しめじ/きゅうり,麦ごはん,厚揚げのそぼろ煮,みそ汁(さつまいも),ひじきの和え物,果物(オレンジ),米/押し麦/砂糖/油/片栗粉/さつまいも/ごま油/白ごま(いり)/薄力粉,牛乳/厚揚げ/豚ひき肉/みそ/ひじき(乾)/納豆/たまご/さくらえび/あおのり/かつお節	にんじん/たまねぎ/えのきたけ/さやいんげん/ごぼう/小松菜/コーン/オレンジ/キャベツ,ロールパン,かぼちゃのスープ,キッシュ,トマト,ロールパン/砂糖/油,牛乳/豚ひき肉/ハム/たまご/ピザ用チーズ/生クリーム,かぼちゃ/たまねぎ/にんじん/ほうれん草/しめじ/トマト/りんご/バナナ/みかん(缶詰)/いちご,米飯,みそ汁(麩としめじ),豚じゃが,キャベツのお浸し,米/麩/じゃがいも/しらたき/油/砂糖/バター/プレミックス粉(ホットケーキ用),牛乳/みそ/豚肉/かつお節/たまご,にんじん/しめじ/こねぎ/たまねぎ/さやえんどう/キャベツ/きゅうり/りんご

    複数のアレルギーを持つ園児は、当然ながら、アレルギー食材を除去する料理も増えます。

    同じく調理手配表と並行した管理が必要です。

複数のアレルギーを持つ園児の調理手配表の例。

(同じ園に、 たまごアレルギーのはなこちゃん たまごと乳製品アレルギーのたろう君が 在園していることを想定)

複数のアレルギーを持つ園児の調理手配表の例,(同じ園に、たまごアレルギーのはなこちゃんとたまごと乳製品アレルギーのたろう君が在園していることを想定),調理手配表,料理名/食品名,3歳以上児,3歳未満児,使用量,切り方,調理指示≪納豆のお好み焼き≫,納豆,キャベツ,薄力粉,牛乳,たまご,さくらえび,あおのり,かつお節,ごま油,ウスターソース,トマトケチャップ

    アレルギー食材がある料理名とアレルギー食材にしっかりマーキングします。

    この料理では合計で3種類のお好み焼きが出来上がることになります。

    はなこちゃん用のお好み焼き(たまご不可のお好み焼き)

    たろうくん用のお好み焼き(たまごも牛乳も不可のお好み焼き)

    不可な食材のないお好み焼き(アレルギーのない園児用)

    「はなこちゃん用のお好み焼き」と「たろう君用のお好み焼き」がわかりやすいように別々にメモをしましょう。この時、色を変えて明記するとわかりやすいです。

調理・提供上の注意点。

献立表や調理手配表をしっかり管理していても、調理工程の中で不備があっては意味がありません。

調理の際も集中を切らさず、除去のし忘れや材料の混同などといった間違えが起こらないよう注意しましょう。

アレルギー除去食は初めに作る。

たとえば「にら玉汁」といった汁物でたまごを除去しなければならない場合、たまごを投入する前に、たまごアレルギーがある園児の人数分を別の鍋に取り分け、その後、代替食材などがあれば投入します。

サラダや和え物なども同様で、「マヨネーズ和え」の場合、マヨネーズで和える前にアレルギーがある園児の人数分の食材を別のボウルなどに取り分け、別の調味料で和えます。

サラダや和え物の場合は見た目で判断がつきにくいものが多いので、アレルギー用に作ったものには付箋を貼るなど、見てわかるように保管しましょう。

器具はなるべく共有しない。

一度洗剤などで洗えば大丈夫と思われるかもしれませんが、アレルギー食材が付着してしまった箸やボウルなどは見た目ではわからないことがあります。

アレルギー用の調理器具を事前に用意しておけば、他の料理と混同するなどの事故は避けることができます。

食器も、その園児専用の食器を用意し、名前を書いて保管しましょう。

テーブルを別にし、その園児専用のトレーで食事を提供する。

同じテーブルで食事をしていると、子供は隣の子の食べ物に手を出したり、アレルギーがある園児も隣の子の食事を触ろうとすることがあります。

この時、手などにアレルギー食材が付着してしまい、アレルギーを起こしてしまうことも考えられます。

これを防ぐために、アレルギーがある園児は他の園児とテーブルを別にしたり、スペース上、同じテーブルで食事をしなければならない場合は、他の園児の手が届かない距離まで離れて食事をさせます。

また、アレルギーを持つ園児の料理が他の園児と混同しないよう、専用のトレーに準備し、そのトレー以外のものを食べたり触ったりしないようにします。

アレルギーを持つ園児専用トレーの例。

アレルギーを持つ園児専用トレーの例,トレーにビニールテープなどを貼り、そこに名前と何のアレルギーかを表記します。テープの色を分けると、「誰の・何アレルギーか」という情報が一目でわかります。

最終確認を怠らない。

最後に、 「専用のトレーに乗せたか・トレーに書いてある名前と食器の名前が一致しているか」をしっかり確認します。また、調理担当から保育士(食事を介助する職員)に渡す際、「今日は誰の・何の料理が別になっているか」 を必ず伝えてから渡しましょう。

⑥食材選びの注意点。

たまごや牛乳など、その食材を除去すればよい料理もあれば、ロールパンやプレミックス粉(ホットケーキ用)、カレーのルウなどには原材料としてたまごや乳製品を使用しているものもあります。

材料を購入する際は、食品の裏面などに記載されている原材料やアレルギー表示をしっかり確認し、アレルギー食品が使用されていないことを確認してから調理・提供しましょう。

ロールパンや食パン、プレミックス粉(ホットケーキ用)などはたまごや乳製品を使用していないものもありますから、使用していない物を選べば、全員同じ食品で提供することもできますし、提供間違いも防げます。

しらすなどでは、原材料に表示がなくとも「この商品はエサとしてえび・かにを食べています」という記載もあります。

食物連鎖の過程で消化されていますし、商品のしらすにえびやかにのアレルゲンはほぼ残ってはいませんが、えび・かにアレルギーを持つ園児には、一度保護者様に確認した上で使用し、園や調理担当独自の判断で使用しないようにしましょう。

まとめ

アレルギー事故を防ぐには、書類の確認や共有はもちろんのこと、一番大切なことは職員同士の報告・連絡・相談です。

日常から報告・連絡・相談を徹底し、保護者の皆様に安心していただける園づくり・アレルギー事故ゼロをめざすため、この記事が少しでも参考になりましたら嬉しく思います。

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