公開日:2015年12月16日

食中毒が起こったあとの食事の対応

目次

はじめに

ここでのポイントは・・・

緊急食は普段は倉庫で保管しているのみですが、非常時や緊急時には患者や入所者の命をつなぐ大切な栄養補給源となります。

備蓄品は一般的に賞味期限の長いものが多く、3年から5年がほとんどとなっていますが、粥など商品によっては1年程度のものもあります。

いつでも準備が整っている体制が重要であると思います。

非常時においても、一番優先して考えなければいけないのは、患者や入所者のことです。

供食の時間が遅れることで、服薬に影響が出る可能性があることを忘れず、他職種と連携を取りながら、給食管理を行ってください。

食品を取り扱う現場では、 食中毒は危機管理のなかでも最重要 といえます。

大規模の食中毒事件の多くは、感染者数が1万人を超え、死者が出てしまうケースも少なくありません。

食の安全とそれに対する信頼を確保するために、管理栄養士や栄養士が現場で果たす役割はさまざまな面で多いに期待されていると思います。

しかし、講義や実習、実験のなかで食中毒や感染症について取り上げられるのは予防がほとんどであり、食中毒が起こってしまった場合、有事のときの食事の対応については時間をかけて学ぶ機会が少ないのが現状です。

いざ!の状況に直面したとき、「どうしたらいいの?」とならないように、適切な対応で、早期に通常の供食ができるよう心がけたいものです。

食中毒で緊急食として対応する場合とは、どんなときか?

  • 食中毒等、 保健所 の指示に従って、調理業務を自粛または停止するとき。
  • 地震などの自然災害で、物理的に調理場を使用できないとき。

食中毒が起こってしまった場合、緊急食としてどのような食事を提供するのか?

厨房使用停止範囲、調理従事者の従事制限範囲によって、対応方法が異なります。

  • 一部献立変更。
  • ほかの病院や施設からの調理食品。
  • 院内備蓄食品。

食中毒発生時は、調理場全体が使用不可になることも多い ため、調理場で使用している機材や器具、調理場で保管している食材も使用できない場合があります。

院内備蓄食品で3日分対応し、 その後、再び保健所の指示に従って、食事提供をすすめるのが一般的となっています。

備蓄食品の食種や献立について。

食種

嚥下や咀嚼など、摂食能力を考慮し、簡素化を図り、最小限の区分で代替措置を設定します。

特別食は原則一般食と同じと考え、注意が必要な脂質コントロール食や易消化食などについては、患者や入所者それぞれの状況にあわせて、①から④で振り分ける場合もあります。

普通食

アルファ化米、クラッカー、パン

おかず缶詰、スープ、みそ汁

軟菜食

白粥、クラッカー

おかず缶詰、スープ、みそ汁

嚥下食

白粥ミキサー(介護食市販品)

やわらかカップ(介護食市販品)、デザートカップ(介護食市販品)

流動食

濃厚流動食(半消化態栄養剤)

献立。

緊急食として食事提供する場合は、おかず缶のどの味をいつ使用するか考えておくと在庫管理が明確になります。

1日の献立例

④流動食,③嚥下食,②軟菜食,普通食,朝食,濃厚流動食,・メイバランス3本,・白粥ミキサー,・やわらかカップ,(ホタテ),・デザートカップ,(小豆プリン),・クラッカー,・ウィンナーと野菜スープ,・クラッカー,・ウィンナーと野菜スープ,昼食,・白粥ミキサー,・やわらかカップ,(カニ),・デザートカップ,(かぼちゃ),・白粥レトルト,・おかず缶詰(すきやき),・パン缶,・おかず缶詰(すきやき),夕食,・白粥ミキサー,・やわらかカップ,(いとより),・デザートカップ,(メロン),・白粥レトルト,・みそ汁缶,・おかず缶詰(さば),・ご飯レトルト,・みそ汁缶,・おかず缶詰(さば),エネルギー量,600kcal,900kcal,1500kcal,1800kcal,水,500ml×2本,食数,20,40,100,140,備考,使い捨て食器、割りばし、使い捨てスプーンなど

供食にあたっての注意すること。

各病棟への運搬。

調理場が使用不可になっている場合は、調理場から各病棟に続いているエレベータが使用できません。

必要な備蓄は調理場へ運ぶのではなく、職員食堂など別の場所を仮の場所として用意します。

仮の場所で各病棟分の仕分けをおこない、一般のエレベータで各病棟へ運搬します。栄養科の職員だけでは供食時間に間に合わない可能性があるため、そのときは看護部や事務局職員に協力を依頼します。

さらに運搬に使用する配膳車についても、調理場のものを持ち出すことは危険です。

各病棟で使用している下膳用の台車やワゴンをよく消毒するなど代わりのもので配膳する必要があります。

個別対応について。

提供の食種は最小限の区分が望ましいですが、アレルギーには個別対応が必要と考えます。

アレルギー反応は、重篤な場合、死に至るケースがあります。

現在において、入院・入所されている方のアレルギー対応については、給食管理するうえで把握していることと思います。

その種類を把握し、どのように対応するか、また代替品にはどのようなものを用意するかを事前に検討しておくことをおすすめします。

非常時には、必ずしも管理栄養士や栄養士が食数を把握し、各病棟への仕分けをできるとは限りません。

そのため、備蓄として用意しておくものをできるだけアレルゲンの含まない食品にしておくというのもひとつの方法かと考えます。

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