公開日:2016年8月16日

栄養管理計画書・栄養ケア計画書(施設)の項目・書き方

はじめに

ここでは「栄養管理計画書」(病院)「栄養ケア計画書」(施設)の項目・書き方について例を挙げながら説明しております。

一般的な書式の項目の意味を理解し、順を追っていけば道筋がそれたことにはなりません。しかし、現場では臨機応変に対応しなくてはならないことだらけです。

基本的なことは以下を参考にしておさえていただき、最終的には、ご自身の病院・施設に合った効率のよい計画書作成ができるようにしていただけるとよいと思います。

「効率のよい」とは楽をするという意味ではありませんね。ひとり仕事の多い管理栄養士だからこそ、効率よく時間をつくり患者様・利用者様に寄り添える時間を作ることが大切です。

患者様・利用者様と寄り添う時間があればあるほど、このような書類も何を書けばよいか分からない。ということにはなりません。

患者様とお話したこと、様子をみていて気付いたこと。

そこで得たことを記録に残したい。それだけで、計画書はじめその他の書類もスムーズに書くことができます。

「効率よく現場に合った」ということはどういうことかも記載しています。

参考にして下さいね。

栄養管理計画書の書き方のポイント

【栄養管理計画書】

  • 作成日
  • 氏名(患者様)・フリガナ
  • 性別
  • 生年月日
  • 入院日
  • 病室
  • 担当医師
  • 担当管理栄養士

上記①~⑧についてはカルテを参照し、記入してください。

9 入院時栄養状態に関するリスク
主に以下の項目に該当していないかチェックします。

    低体重・肥満

    食事摂取量⇒不足・過剰

    食欲不振

    嚥下・摂食障害

    認知症

    生活機能低下

    アルブミン低値

    内科系疾患

    その他

《ポイント》

体重・BMIなどからの身体の状況、病症(食事制限など)食事摂取量、食事を物理的・精神的に食べることができるのか ということに注意してリスクを探ります。

栄養状態の評価と課題。

    栄養状態良好

    低栄養のおそれ

    低栄養

どれに該当するか評価とその評価に対する課題があれば記入します。

評価の仕方で一般的に指標として出ているのはー

  • 栄養スクリーニング(施設)
  • 簡易栄養状態評価表(MNA)

ーなどがあります。これらを参考にして、評価をしていきます。

《ポイント》

一般的に出ている栄養スクリーニングの指標は介護施設で使われているものです。

一番よい指標はこれらの指標を基にその病院に合った指標をつくること だということです。

筆者の場合、勤めていた病院がリハビリテーション病院(以下:当院)で、患者様の主な年齢層が65~95歳。

何らかのケガを負い、救急病院・施設・家から搬送されてきた患者様でした。

筆者はなるべく漏れのないように評価をしたかったので、上記の栄養スクリーニング(施設)・簡易栄養状態評価表(MNA)の両方を組み合わせて、当院に合った指標をつくり、評価していました。

(以下、一般的な様式例を基にお話しています。)

栄養スクリーニング(施設)は、対象の患者様の年齢が高齢者ということもあり、利用するのに合っていると判断し、BMIの評価や、体重減少率(%)、アルブミン値の指標を使用することにしました。

逆に経腸栄養法・静脈栄養法を使う患者様が基本的におりませんでしたので、栄養補給法の項目は削除し、食事摂取量も普段から食べている量が少ない患者様にとっては病院の食事が多いということもよくありました。

食事摂取量の項目もおおまかな75%以下というチェックではなく、50%、30%の摂取量かも確認できるようにしました。

簡易栄養状態評価表(MNA)は、家から骨折をしてこられる患者様もいらっしゃるなど体重の情報が得られないケースもあったため、簡易栄養評価のアセスメント欄にある、『R:ふくらはぎの周囲長(㎝)』を追加したりしていました。

筆者もいきなり上記のように項目を改良できたわけではありません。

患者様・利用者様の様子や実際にお話をすることによって、食べられる量や体の具合で得られにくい情報や、計算では分からない心理的な状況、若い方とご高齢の方で全く同じ具合にはいかないことなどが接することで分かってくることがあります。

全て独自で考えたものをいきなり使うと、漏れがあるといけないので、一般的に使われている項目は最低限チェックしつつ、患者様と接していった経験を活かし、改良していくといいものが出来上がっていきます。

目標

今までまとめてきたリスク・評価を基に目標を記入します。例えばー

    現状維持
    (特に問題がない場合)

    食事摂取量の維持・向上
    (現状の食事摂取量を最低ラインとしたい場合)

    食形態の向上
    (ミキサー食から刻み食へなど、サポートして食形態をあげていけると判断した場合)

    食欲不振の改善
    (食欲がない場合)

    脱水予防・改善
    (水分に特に注意したい場合)

    食生活の改善(栄養指導)
    (持ち込みなどの禁止、指導が必要な場合)

    内科系疾患への対策
    (糖尿病や腎臓病など、疾患による改善が必要な場合)

ーなどです。

栄養補給量。
  • エネルギー
  • タンパク質
  • 水分
  • 塩分

こちらは一概に言えるものではありません。

医師の指示のもと、身長・体重・性別・年齢・疾患・食形態・患者様の様子などに配慮して計算してください。

栄養補給方法。

    経口

    経腸栄養

    静脈栄養

食事内容。
  • 食種
    (常食・糖尿病食など)
  • 食形態
    (主食⇒常食・軟食・お粥など)
    (副食⇒常食・大刻み・小刻み・ミキサーなど)
  • kcal
    (⑫栄養補給量などを参考に医師と判断してください。)
留意事項。

項目にないような特記事項・注意点があれば記入します。

入院時栄養食事指導の必要性。

    なし

    あり⇒内容・実施予定日
    (入院時に食事の説明や指導を必要とする場合)

栄養食事相談の必要性。

    なし

    あり⇒内容・実施予定日
    (患者様と栄養相談をする必要がある場合)

退院時の指導の必要性。

    なし

    あり⇒内容・実施予定日
    (退院時、退院先での食事指導を必要とする場合)

その他栄養管理上解決すべき課題に関する事項。

上記に書ききれなかったことや、他職種との連携など特記することがあれば記入する。

栄養状態の再評価の時期。

基本的に問題がなければ1週間後くらいでよいですが、栄養状態によって毎日のように評価をした方が良い方もみえます。

また、最初は問題がなくても1週間以内に体調が変わる方もみえます。

管理栄養士だけで毎日、全員患者様の食事の様子を観察することは難しいので、 他職種と連携をとり、何か変化があった時は連絡がくる体制をとっておくことが大切です。

また、その場合 具体的にどのようなことを連絡してもらいたいか伝えておくことが大切です。 し、あくまで少しでも変化に気づけるようお願いするだけであって、 他人任せにせず、自分でも確認に回ることが大前提です。

退院時及び終了時の総合的評価。

退院時、終了時に最終的な評価をします。

具体的にはー

    維持できた

    改善できた

    悪化した

などですが、 これからどうしていったらよいかも退院先での患者様のために書き、患者様本人やご家族にお伝えしましょう。

栄養ケア計画書書き方のポイント。

  • 氏名(患者様)・フリガナ
  • 生年月日
  • 住所
  • 計画作成者氏名
  • 所属名及び所在地
  • 担当者氏名
  • 入所(院)日
  • 初回作成日
  • 作成(変更日)
  • 要介護状態区分

上記①~⑩についてはカルテを参照し、記入してください。

利用者及び家族の意向。

利用者やその家族に現状に対し、今後どうしていきたいのかを伺い、記入します。

例えばー

    食形態をあげたい。

    自分で今食べられているので、それを維持したい。

    食事量を現状維持、もしくはあげたい。

ーなどです。

解決すべき課題(ニーズ)

低栄養状態のリスク⇒栄養スクリーニングの結果を記入。

利用者・ご家族のご意向を達成するために問題になっていることや注意点などを記入します。

例えばー

    口腔環境がよくない。

    手が動きにくい。

    アレルギーがある。

    鬱・認知症がある。

    食事において全介助・見守りが必要。

    誤嚥に注意が必要。

    入れ歯があるが合っていない。

    食べ残しが多い。

ーなどです。

長期目標と期間。

⑪の意向、⑫の課題を基に目標を立てます。

例えばー

    自分で食べられるように維持をする・6ヵ月。

    誤嚥に注意しつつ食事量を増やす・6ヵ月。

    食形態を刻み食まであげる・6ヵ月。

ーなどです。

短期目標と期間・栄養ケア(1.栄養補給、2.栄養食事相談、3.多職種による栄養ケアなど)・担当者・頻度・期間

⑬の長期目標を達成するための目標を立てます。

ポイントはひとつの目標に対して、いろんな角度からのアプローチと管理栄養士にとどまらず、多職種の方と連携して目標を達成するということです。

例えばー

    食事の自立を維持する。/平成27年9月1日~平成27年9月30日

    • 口腔内のケアをします。・看護師/言語聴覚士・毎食・3ヵ月。
    • ご自身で口に運べるよう刻み食(大)を提供します。・管理栄養士・毎食・3ヵ月。
    • 筋肉が衰えないよう維持をします。・理学療法士・週3日・3ヵ月。

    食形態を刻み食まであげる。/平成27年9月1日~平成27年9月30日

    • 口腔内のケアをします。・看護師/言語聴覚士・毎食・3ヵ月。
    • 可能な食材から刻み食にあげて、必ず移行期間は言語聴覚士と一緒に食事をします。難しいものはとろみをつけるなどして誤嚥のないよう配慮します。

    食べ残しを少なくする。/平成27年9月1日~平成27年9月30日

    • 摂取量の確認をします。・看護師・毎食・3ヵ月。
    • 利用者様の声に耳を傾け、食べなかった理由を探り、対応します。
    • ・管理栄養士/言語聴覚士・移行期毎食・3ヵ月

特記事項。

上記に書ききれなかったことがあれば記入する。

説明と同意・年月日・サイン・続柄。

ご家族(利用者)に説明後、同意し、続柄とサインを記入していただきます。

まとめ

このような書類を書いていると必ずつまずくことがあります。データがない。患者様・利用者様が喋ることができない。

ご家族の方があまり来られない。こちらの言うことが通じない。などです。

このような、なかなかうまく書式を埋められないといったことをどうクリアしていくか。

例えば、身長・体重が分からない、測れない状況にあったら、計測器を使うのではなくメジャーでふくらはぎを図ったり、関節ごとに細切れ計測したり、計測器よりは正確でなくても 少しでも情報を得られる術を持つと良いと思います。

また、喋られない患者様もたいてい入院時にはご家族がいらっしゃいます。 忙しくても入院時、ご家族とお話することは必ずしていました。

その時に一番そばにいるご家族様から、お話を聞くことはとても大切なことです。

もし、 ご本人が、お話ができない方であれば、今後どうしたらよいかもご家族に聞くのもよい手段です。

また、 このような書類は栄養管理をしていく上で、漏れがなくひとつひとつ確認する意味でも重要です。

しかし、「書くこと」に時間がかかっていては、患者様と接する時間が少なくなってしまうように思います。ですので、筆者は経験から、 よくある項目は書いておいてチェックをするだけという書式をつくっていました。

もちろんよくある項目だけですので、 その他、備考の欄は必須です。 病院内で1人の管理栄養士でしたし、毎日入退院がありましたが、書類に時間をとられるということはあまりありませんでした。

でもそれは 手抜きでも何でもなくて、いかに効率よくし、患者様に目を向けられるかということを考えた結果です。

ひとり仕事が多い管理栄養士・栄養士職ですから、効率よく、多職種との連携も大切にしていって、患者様・利用者様に寄り添える業務ができるとよいですね。

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