公開日:2016年9月20日

特定保健指導症例。

動機づけ支援。

(症例3)

50代男性 自営業(国保)

行動変容ステージ:無関心期

腹囲90.5センチ、身長175.1㎝、体重80.9㎏、BMI26.4、喫煙なし

血圧129/78mmHg、空腹時血糖92㎎/dl、中性脂肪185㎎/dl、HCDLコレステロール41㎎/dl

主訴

脂っこいもの、甘いもの、アルコールが大好きでやめられないしやめたくない。

その代わりジムに時々通うようにしている。でも変形性膝関節炎があるので、あまり負荷のかかる運動はできない。

体重は変動しやすく、20代の頃は65Kgで、過去最高体重は88㎏。水を飲んでも太る体質だと思う。

食べること、飲むことが大好きで食事での行動計画はやや拒否がみられました。

【支援ポイント】

食べること、飲むことが大好きで食事での行動計画はやや拒否がみられました。

口調は穏やかではありましたが、特定保健指導の最中は終始腕組みをされたままで、「なかなか難しくて、、、」「体質だから、、、」と受け入れが不十分、指導に対しても拒絶している部分があるように見受けました。

脂っこいものを控えるように伝えると「妻が料理を作るから色々頼みにくい」

甘いものを果物か何かに変えるよう提案すると「大好物でやめるのは辛い」

アルコールをノンアルコールビールや糖質オフビールなどに代替えすることによるエネルギー減について明示しましたが「まずくて飲めない」

と食事の行動計画に対してはこちらの提案全て拒否。

ご自身も「食事で頑張ることは難しい」とおっしゃられました。その分運動で頑張るので、、、と運動療法を希望されました。

具体的な運動量と消費エネルギーを明示したうえで、変形性膝関節炎のこともあるので、運動療法のみではなかなか難しいこともさりげなく伝えてみましたが、本人様の希望でとりあえず運動についての行動計画を挙げられました。

かなり ハードな目標設定をされましたが、本人様の意志を尊重し、それで始めていただくこととしました。

半年後の評価では、結局寒くなってからジムに通うのが億劫になったとのことで、継続できていないとのことでした。

また、変形性膝関節炎の手術をすることが決まったとのことで、大事をとって運動はしてないともおっしゃられました。

運動のみではやはり難しいので、食事のほうも 補助的に実行 してはどうかとお伝えしたところ、納得されました。

今後の行動目標、計画として、ジムに行けない日だけでも菓子を控えて果物で代用するということでとりあえず納得されました。

どうしてもやめられないと拒否が強い場合、無理強いせず、本人様の行動目標の自己決定内容に無理があると思っても、まず始めてみてもらうことも大事です。

それで実行が難しいと本人様が納得されたうえで「補助的に」という表現での行動計画の変更は比較的受け入れてもらいやすい ように感じます。

(症例4)

40代男性 公務員(市町村共済)

行動変容ステージ 実行期

腹囲92センチ、身長173.9㎝、体重74.5㎏、BMI24.6、喫煙なし

血圧123/70mmHg、空腹時血糖105㎎/dl、中性脂肪118㎎/dl、HCDLコレステロール44㎎/dl

主訴

健康診断後、自分なりに色々食事に気を遣うようになり、菓子も減らした。妻も色々気を付けて料理を工夫してくれているが、空腹感が強くふらふらする。既に体重は1㎏落ちている。結構きつい。

朝食は6枚切り食パン半枚素焼きしたものと、手製の野菜ジュースのみ。

昼食はコンビニで購入する弁当。内容は様々。

夕食は主食を150gにして、油ものは妻が出さなくなった。晩酌は一切しない。

運動は昔していたが、肩を痛めてから一切していなくて不足しているのはよく分かっている。犬の散歩を時々行う程度。

【支援ポイント】

まず、 特定保健指導を受けられるまでのところで既に食事の内容に留意され、実行されたことを評価 しました。

そのうえで、40代男性の1日の必要エネルギー量の目安を明示しました。

必要以上のダイエットは身体を壊すこととなり、逆効果のこともあると伝えるとともに、無理なく長く続けて、慢性疾患を予防することの大切さをお話ししました。

そのうえで、今実行している食事療法の是正を行いました。それから、本人様に行動計画を考えていただきました。

空腹感が強いことから、本人様がこれ以上の節制は辛いと申し出られたこともあり、以前から気になっていた運動を取り入れた行動計画を考えていただきました。

几帳面な印象の方だったことから、ルーチン化した行動計画が効果的ではないかと考え、日常生活に何か組み込めないかと提案 したところ、仕事の日は昼のコンビニ弁当を買いに外に出るので、その際少し遠回りをして10分程度歩くようにすることを自ら行動計画として挙げられました。

また、休日は犬の散歩を自分がするように家族に話してみる、散歩コースを考えて、1時間程度歩くようにしてみると前向きに行動計画を検討されました。

積極的支援。

(症例3)

50代男性 警察官(市町村共済)

行動変容ステージ 実行期

腹囲81.5センチ、身長183.4㎝、体重71.9㎏、BMI21.3、喫煙あり

血圧133/80mmHg、空腹時血糖105㎎/dl、中性脂肪143㎎/dl、HCDLコレステロール42㎎/dl

主訴

朝食はフルーツのみ。

昼食は主食小盛の仕出し弁当。

夕食は21~22時と遅いことから健康診断後から主食を100g程度にして継続している。住んでいるのが海端なので、魚中心で、家庭菜園もしているので野菜は豊富。

晩酌は焼酎3杯とビール350ml1本。

飲み会が多いが、周りが次々注ぎにくるので、食べている暇がない。その為飲み会に出る度に体重が落ちる。食べずに飲むから飲み会の後はお腹が空いて、菓子パンやおはぎやチョコレート等を買い食いしてしまう。

運動は特にしていないが、休日は家の畑仕事があるのでそれが運動代わりになっている。ただし、冬季は畑仕事をせずごろごろしている。それでも毎日腹筋運動は継続している。色々と意識はしている。

仕事のストレスが多い為禁煙はできない。たばこが1箱500円になったらやめる。それまでは吸い続ける。

【支援ポイント】

アルコールを摂取した後の摂食行為は、急激な血糖値の上昇につながることを伝え、きちんと食べながら飲むことの大切さをお伝えしましたが、中間管理職という立場的に部下が酒を注ぎに来たり、上司に注ぎに回ったりする為ゆっくり食べている暇はないし難しいとのこと。

宴会が始まってすぐに野菜料理は平らげるようお伝えし、飲み会後に買い食いすることを控えるよう助言しましたが、「体重も腹囲も問題ないので、摂取エネルギーと消費エネルギーの帳尻は合っている」と拒否的。

たばこも仕事をしている限りストレスがあるからやめられないしやめませんときっぱり。

「ではどういった行動計画を立てましょうか?」と訊ねましたが、「既に色々実行しているのだから特に変える気はないし、無理はしたくないです」と、自分が現在行っていること以外の新しい提案は受け入れる気はない様子でした。

ご自身が実行しておられる食事療法や運動療法に対して自信もあるようでした。

1か月後の電話支援でも「体重も増えていないし、現状維持をゴールと考えていたので良いと思っている。腹筋も毎日続けているし、ストレスなくできているのでこのまま様子を見たい」とのことでしたので、 維持できていることを評価するのみに留めました。

2か月目の中間面接の際、職場で気分不良になったことがあり、血圧測定をしたところ収縮期血圧が200mmHgを超えており、近医を緊急受診したところ、不整脈を指摘されたとのことで、少しお元気がない様子でした。

不整脈があるのであれば、禁煙をすることが大切である旨と心血管イベントについてとその予後についてお話し したところ、「次に血圧が上がったら禁煙する」と約束されました。

また、 血糖値がやや高値であることから、今後血糖コントロールが悪化すれば心筋梗塞などを発症するリスクが高くなることを伝え、 せめて内容に留意し、菓子パンやおはぎなど糖度の高いものは禁止ということを行動計画に加える運びとなりました。

インテリジェンスの高い利用者に対しては、エビデンスレベルの高い論文などを引用した説明が効果的なこともあります。厳しい話しも時として必要だと感じます。

(症例4)

30代男性 公務員(市町村共済)

行動変容ステージ 維持期

腹囲88.5センチ、身長168㎝、体重73.1㎏、BMI25.9、喫煙あり

血圧110/69mmHg、空腹時血糖110㎎/dl、中性脂肪170㎎/dl、HCDLコレステロール45㎎/dl

主訴

以前保健師さんの指導で朝食をきちんと摂るように言われたので朝はヨーグルトか牛乳はきちんと摂取するようになった。

昼食は妻の作る弁当を持参する。弁当箱のサイズを一回り小さいものに変えた。

夕食は21時以降になってしまう。早食いドカ食いで主食は丼1杯食べてしまう。ご飯で体重が増えることは分かっているので、なるべく減らすようにしているが、ご飯が好きなので辛い。

妻も気にかけて、夕食のおかずの品数を1品減らし、脂っこいものも控えてくれるようになったが、空腹感が強い。

晩酌も菓子類も摂らないのに体重が減らない。

週4回は小学校にバスケットのコーチをしに行っているが、自分は監督しているだけで、一緒にバスケットをしている訳ではない。

以前は難なくできたバスケットのプレイが、体重が増えてから動きも悪くなってできないことが増えた。何とか体重を落としたい。

【支援ポイント】

バスケットを昔のようにできるようになりたいという目標があることから、指導に対しても熱心で質問も沢山ありました。

まず、 聞き取りから1日にどの程度エネルギー摂取しているかを算出し明示したうえで、具体的な体重減少目標を達成するための1日あたりの消費エネルギーについて示しました。

現在バスケットを教えに行っていることから、生徒たちと一緒にランニングをどの程度したらどのくらいのエネルギー消費があるか等具体的な運動と消費エネルギーについて示したところ、即ご自身で行動目標を挙げられました。

1か月後の電話支援では、ご飯が大好きなのを我慢して主食量を調整しているうえにおかずの品数を1品減らしていることから、空腹感が強く反動で今までよりご飯を食べてしまい逆に体重が増えたと落ち込んでおられました。

まずおかずの量は元に戻すようお伝えしました。

それで、ご飯のどか食いが減らせるかを次回面接時に確認しましょうとお伝えしたところ、全体のエネルギー配分のバランス調整が大切なのだということを理解され、ほっとした表情を浮かべられました。

2か月後面接でも熱心に質問され、前向きな言葉も聞かれていました。

やや神経質な方や、目標が明確な利用者は無理される場合も多いので、支援の度に無理がないか、辛くないかの確認をしながら、行動修正、行動計画変更をしていくことが大切です。

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