公開日:2016年8月30日

糖尿病の検査値の読み方 個別栄養食事指導の流れとポイント

はじめに

ここでは糖尿病の栄養指導及び検査値の読み方を解説するわね

検査値は関連した検査と覚える事が必要なの

少し長いけど大事なので何度も読んでみてね

ここでは

以上について説明していきます。

個別栄養食事指導の流れ

初めて栄養食事指導をするとき、教科書的に疾患の事や食事療法のポイント、カウンセリング技法等を勉強しても、実際にどのようにそれらを活かし、栄養食事指導を進めていけばよいか分からない、といった事が障害になると思います。
そこで、栄養食事指導を行う実際の流れを説明します。

栄養食事指導をするにあたって事前に準備すること

まずはカルテより対象者の情報を集めます。最低限必要な情報は、主病名(依頼のあった疾患)、性、年齢、身長・体重(BMI)です。

その他に検査データ、服薬状況、現病歴や既往歴など、時には看護師などの他職種から、生活状況や家族構成などの情報も集める事もあります。情報が多いほど対象者にあった指導が出来ます。

継続指導の場合、体重や検査値の推移(改善しているのか、維持しているのか、悪化しているのか)、前回の指導内容も確認しておくと良いでしょう。

必要があれば指導の時に使う教育媒体も準備します。

個別栄養食事指導の実際のすすめ方

下記に栄養食事指導を実施する際の流れとポイントを示します。

【手順1:導入】

最初に明るく挨拶をします。当たり前の事のようですが、挨拶をしっかりする事は安心感を与え、今後の信頼関係を築いていく上でとても重要です。

信頼関係がしっかり築けると、医師には話せなかった治療上の重要な事を打ち明けてくれたりする事もあります。

次に、医師にどのように指導されているか確認します。下記にも説明していますが、これは治療方針を統一するために大切です。

初回指導の時だけでなく、継続指導の際にも毎回確認します。治療方針が統一されていないと、誰からの指導を実行すればいいのか分からず、対象者が混乱をする原因になります。

初回指導であれば、ここで食事療法の動機付けを行います。動機付けには疾患や検査値を示しながら、「今、体はどのような状態になっているのか」、「放っておくと今後どのようになっていくのか」を説明します。

リーフレット等を用いて、対象者の検査値をリーフレットに記載しながら説明すると、対象者の印象に残りやすく、動機付けに有効でしょう。

動機付けが必要である理由は「糖尿病の個別栄養食事指導においてのポイント」の章で説明します。

【手順2:食生活のアセスメント】

次に食生活のアセスメントに移っていきますが、アセスメントのポイントは疾患や検査値と栄養に関連した事に焦点を絞って確認する事です。

焦点を絞らずに確認すると、話を聞くだけになってしまい、その後の指導に結びつけにくくなってしまいます。ここでのアセスメントはまだ詳細に行う必要はありません。

【手順3:食事指導】

アセスメントを元に食生活上の改善点を挙げ、ここで初めて優先順位が高いと判断した食習慣について詳細に聞き取ります。

その問題点の中から対象者が実行可能な内容を提案し、対象者と相談して行動目標を決めます。

あれもこれもでは、対象者に食事療法の実行が難しい印象を与えてしまうので、行動目標の設定は1回の指導で1つから2つ程度を目安にしましょう。

提案する行動目標は、細かい食品に着目するより先に、食生活の土台が調うような目標から提案すると良いでしょう。
(例:食事時間や配分⇒主食・主菜・副菜のバランス⇒食品の中身といったように)

提案した中から対象者に選んでもらう事で、「押し付けられている」ではなく、「自分で決めた行動である」という印象になります。

優先順位をつける理由は対象者が知りたい事は「自分にとっての優先順位はどれか」という事と、優先順位が高いものから実行する方が改善結果に結びつきやすいからです。

行動目標や指導内容はリーフレットに書き込んで対象者に渡しておくと良いでしょう。

また、今後継続的に指導をするようであれば、行動目標のセルフモニタリングシートを渡して次回持ってきてもらうように促します。

経験的にセルフモニタリングシートを活用出来る対象者は改善結果に結びつきやすい印象があります。

その他に栄養食事指導を行うにあたって必要な事

一番大切なのは主治医の治療方針に沿う事です。

そのためには、医師からの栄養食事指導依頼箋にしっかりと目を通す事はもちろんですが、医師の診察後に栄養食事指導をする場合であれば、患者に「医師にどのような事を言われたか」を確認してから進めると良いです。

また、指導内容を医師だけでなく、看護師とも情報共有をし、患者への治療方針を統一する事も大切です。

指導内容はカルテに記載して、医師・看護師などの他職種へ報告しますが、特に重要と思われる事は口頭でも看護師に申し送りをしておくと良いでしょう。

糖尿病の個別栄養食事指導においてのポイント

2014年11月現在、糖尿病に罹患している人は721万人1)おり、その95%以上が2型糖尿病2)です。

実際の現場でも糖尿病の栄養食事指導の依頼は沢山あります。

病院にもよりますが、依頼の大半は糖尿病と言っても過言ではないかもしれません。糖尿病の栄養食事指導を出来ると脂質異常症や高尿酸血症などのその他の生活習慣病の栄養食事指導にも応用が出来ます。

糖尿病の食事栄養療法で大切なこと

糖尿病患者の食事療法の実行度は60%程度であり、生活習慣の大きな変更は実行度が低くなっています。3)

そこで、「なぜ食事療法が必要なのか」という動機付けをしっかり行う事でその後の食事療法の実行度を高くする事が出来ます。

また、糖尿病の食事療法は「制限をする」といったネガティブなイメージを持っている人が多いので、「個々の体格や活動量に見合った健康食」であるというプラスのイメージを初期の段階で植え付けておく事も大切です。

内服状況の確認

糖尿病治療薬の種類は多く、それぞれに特色と注意点があります。

低血糖を起こしやすい薬や体重が増加しやすい薬、尿にブドウ糖を排泄する作用のある薬など、対象者がどのような内服をしているかによって栄養食事指導をするポイントも違ってきます。

栄養食事指導を実施する前に、対象者がどのような種類の薬を飲んでいるか把握する必要があります。

糖尿病の栄養食事指導に関する検査値の読み方

検査値を理解すると栄養食事指導をするべき改善点のポイントが分かってきます。

食事アセスメントをした際に、やみくもに指導をしても対象者はダメ出しをされているように感じる上に、改善に結びつかない事もあります。

指導をすすめる際には検査値を根拠にすると、対象者を否定せずに、説得力のある栄養食事指導をすることができます。

ここからは検査値の説明をするわね。検査値は単独ではなく、関連した検査と併せて確認します。ここでは糖尿病に関する検査値について説明するわ

1.尿検査

尿糖

糖尿病では、一般に血糖値が180mg/dlを越すと尿糖が陽性になります。

基準値

(−) 正常 0〜29mg/dl
(±) 境界値 30〜100mg/dl
(+) 弱陽性 100〜250mg/dl
(++) 中等度陽性 250〜500mg/dl
(+++) 強陽性 500〜1000mg/dl
(++++) 強陽性 >1000mg/dl

【尿糖の見方】

軽度の糖尿病では、食後に尿糖が排出するので、食後2時間尿が判断に役立ちます。

ケトン体

ケトン体はエネルギー源として糖質が不足しているか、利用されないために脂肪を利用しているときに、尿中に排泄されます。

基準値

(−) 陰性 正常
(+) 弱陽性 軽度のケトン体増量
(++) 中等度陽性 ケトーシス
(+++) 強陽性 高度のケトーシス

【ケトン体の見方】

ケトン体が「++」、「+++」の場合、極端なダイエットか糖質制限のし過ぎを確認します。

炭水化物が豊富な食事の後でもケトン体が消失しない場合は、高度なインスリン不足状態です。この場合はインスリン療法の適応となります。

尿タンパク

基準値:(−)
尿タンパクは主に腎臓疾患などのスクリーニング検査として行われます。
糖尿病歴が長く、血糖コントロールも悪く、さらに高血圧が加わると、糖尿病性腎症になる可能性が高くなります。

タンパクは体に必要なものなので、腎臓に障害が起きていなければ尿タンパクはほとんど見つかりません。糸球体のダメージがひどくなるに従い、微量アルブミン尿から顕正アルブミン尿(タンパク尿)へと進みます。

微量アルブミン尿

早期の糖尿病性腎症を発見するためには、微量アルブミン尿検査が有効です。

正常の腎糸球体はタンパクを通過させられませんが、糸球体に障害があると分子量の比較的小さなたんぱく質である「アルブミン」が漏れ出てきます。

糖尿病性腎症診断基準値

夜間随時尿 10μg/分以上20mg/l/日未満
24時間尿 15μg/分以上
昼間安静時尿 20μg/分以上

【微量アルブミン尿の見方】

微量アルブミン尿が出現した段階からたんぱく質を1.0g〜1.2g/kg/日に切り換えれば、腎機能を障害させません。尿タンパクが継続して排出される時期には、たんぱく質0.8〜1.0g/kg/日の制限が必要になります。

2.血液検査

空腹時血糖値
基準値 110mg/dl未満
正常高値 100〜110mg/dl
境界型基準 110〜126mg/dl
糖尿病診断 126mg/dl以上

【血糖値が高い場合の見方】

血糖値が高い場合には、過食、糖質の過剰、食物繊維がとれているかなどを確認します。

血糖値は、採血の数日前から節食すると低下するので、HbA1cや1,5AGなどと併せて確認します。

HbA1c

過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均をみるので、血糖コントロールの指標となります。

基準値:4.6〜6.2%(NGSP値)

目標 血糖正常化を目指す際の目標 合併症予防のための目標 治療強化が困難な際の目標
HbA1c(%) 6.0未満 7.0未満 8.0未満

HbA1cが高い場合は、採血した時点より1〜2ヶ月前のムラ食いの程度が分かります。

1,5AG

1,5AGは、糖の排泄が多いと尿中に排泄されるので、食後高血糖をよく反映します。その一方で採血の10日前位からの血糖値を反映しますが、直前の飲食には影響されません。
基準値:14〜40μg/ml

【1,5AGの見方】

他の検査値と違い数値が高い方が血糖コントロールの良い状態であることを表します。

1,5AGが低下(悪化)した場合は、採血前10日間に、尿糖が出現した頻度が多い事を意味し、羽目を外した頻度が増えたか確認します。

SGLT2阻害薬を内服している場合は、平均血糖値と比べて異常低値をとるので注意が必要です。

HbA1cや空腹時血糖値が良好な値でも、1,5AGが低値を示している場合は、食後高血糖の頻度が多い事を表します。そこで、1食のエネルギー量が多くないか、果物・ジュースが多くないか、穀物のみの食事になっていないか、毎食食物繊維がとれているかなどを確認します。

HORA-IR

インスリン抵抗性の簡便な指標のひとつです。
正常値:1.6以下
2.5以上の場合にインスリン抵抗性があると考えられます。ただし、インスリン治療中の患者には用いません。

引用・参考文献:
1)糖尿病ネットワークより引用
2)治験.comより引用
3)日本糖尿病療養指導士認定機構(2012).『糖尿病療養指導ガイドブック2012』,メディカルレビュー社
4)日本糖尿病学会(2014).『糖尿病治療ガイド2014-2015』,文光堂
5)足立香代子.『検査値に基づいた栄養指導ポケットブック版』,チーム医療
6)足立香代子(2010).『足立香代子の実践栄養管理パーフェクトマスター』,学研

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