公開日:2016年8月28日

骨粗しょう症個別栄養指導パンフレット作成方法

はじめに

日本での骨折の発生率は他国と比較し少ないとされてきましたが、大腿骨頸部骨折は年々増加の一途をたどり、1300万人とも言われています。骨粗しょう症は最近の米国国立衛生研究所のコンセンサスにおいて「骨強度が低下した全身の骨格病変」と定義されました。

骨強度というのは「骨密度」と「骨質(骨の微細構造とダメージの蓄積、石灰化状態、骨基質、骨代謝回転)」により規定され、つまり骨基質のたんぱく質や石灰化の状態など、栄養因子をも含めた幅広い対策の必要性を示したものです。

骨粗しょう症の治療は、骨折を予防しQOLの低下予防や改善が目的です。しかしながら、骨粗しょう症は発症時には自覚症状もなく、早期介入は難しいのが現状です。また、骨粗しょう症の栄養指導に対しての診療報酬は算定できない為、個別栄養指導オーダー自体少ないのが実際です。

しかし、施設や学校によっては「骨粗しょう症教室」「転倒予防教室」など集団栄養指導を実施することもあります。生活指導3原則として食事、運動、日光浴が挙げられ、医師や運動療法士、保健師などと共にチームで指導を行うこともあります。

また、閉経後の女性を中心に、患者自身が興味を持ち、他の疾患での栄養指導を行う際に合わせて骨粗しょう症についての質問や食事のアドバイスを求められることも少なくありません。

骨粗しょう症対策で、他の疾患で治療中の患者が、必要以上にカルシウムやビタミンDを多く含む食品の過剰摂取をしており、対象疾患での栄養指導の効果が十分得られないことも時としてあります。

栄養指導パンフレットを作成しておき、必要時にはいつでも栄養指導ができるようにしましょう。

目次

骨粗しょう症の成因

骨粗しょう症は遺伝的因子に加え、多くの危険因子が加わり発症します。

危険因子を先に挙げておくことで、栄養療法の意味をより理解しやすくなるので箇条書きにしておくのも良いでしょう。

危険因子というのはカルシウム摂取不足、ビタミンD不足、飲酒、食塩過剰摂取、リン過剰摂取というようなことですね

例えばビタミンD不足・・・カルシウム吸収障害、飲酒・・・カルシウムの尿中排泄促進、食塩過剰摂取・・・カルシウムの尿中排泄促進、リン過剰摂取・・・カルシウム吸収抑制というように機序を示しておくといいですね

引用元三村整形外科

骨粗しょう症の食事療法

エネルギー

エネルギーのみならず、各栄養素は日本人の食事摂取基準に準じて不足しないようにします。

たんぱく質

骨格の構成成分であり、不足はカルシウム吸収が悪くなります。逆に過剰摂取は尿中へのカルシウム排泄促進につながるので、所要量の摂取を目標にしましょう。

カルシウム

700~800㎎/日を推奨します。カルシウムを多く含む食品の一覧を示すと良いでしょう。

具体的に1日700~800㎎程度摂取できるよう指導します。カルシウムを多く含むメニューを紹介できるようにします。

患者は「カルシウム=牛乳」のイメージが強く、必要以上に摂取していることもあるので、牛乳以外でも摂取できることを説明し、具体的な食材について挙げておきましょう。

また、カルシウムのサプリメントを服用しているケースもしばしばみられますが、500㎎/日程度までとするよう説明しましょう。また、ビタミンD剤との併用の場合は高カルシウム血症に注意が必要です。指導の際はサプリメントの服用がないか確認することも大切です。

ビタミンD

カルシウムは単独での摂取でなく、ビタミンDを併せて摂取することで骨密度上昇効果、骨折抑制効果があるので積極摂取するように指導します。

400~800IU/日程度摂取できるようにします。ビタミンDを多く含む食品の一覧を示すとともに、日光浴で体内生成できるので屋外での運動(ウォーキング等)を勧めます。

ビタミンK

骨量増加作用があるので積極摂取するよう指導します。250~300μg/日程度摂取できるようにします。ビタミンKを多く含む食品の一覧を示しましょう。

ただし、ワーファリン投与例は主治医の指示を必ず仰ぎましょう。

リン

通常不足することはありませんが、たんぱく質摂取量が極端に少ない高齢患者などでは不足することもありますので、たんぱく質の摂取目安量を明確にすると共に、リンを多く含む食品の一覧を示しましょう。

食塩

過剰摂取は尿中のカルシウム排泄を促進する為10g/日以下とします。

アルコール、カフェイン

腸管でのカルシウム吸収抑制作用と尿中排泄促進作用により骨粗しょう症のリスクが高くなります。

1日3単位(エタノール8~10g)以上のアルコール摂取は骨折リスクが高くなることをエビデンスをもって指導しましょう。

カフェイン飲料のカルシウムの尿中排泄促進についても説明します。

1日1~2単位程度のアルコールに留めるよう、コーヒーは1日2杯程度までとするよう指導しましょう。目安を絵図と共に示すと良いでしょう。

その他

ビタミンB群(特にビタミンB12)、葉酸も過不足なく摂取するよう指導します。これらが不足すると血中ホモシステインが上昇し、骨基質たんぱくであるコラーゲンの合成が低下する為です。

骨粗しょう症に推奨される食品、控えたほうが良い食品を一覧表にして示すのも良いでしょう。

様々な栄養素に留意しないといけないので大変ですね。献立表を準備しておいたほうが良いですね

栄養指標は骨粗しょう症の治療に重要ではありますが、診療で栄養素の過不足の正確な把握は難しいですよね。食事療法の重要性の知見は報告されていますが、有効性はエビデンスレベルとしてまだ十分とは言い難いですし、指導法としては献立というよりカルシウムやその他栄養素を多く含むレシピを紹介としたほうが良いかもしれませんね

献立・調理のポイント

食形態

骨粗しょう症患者は高齢者が多いことから、高齢者の嗜好や嚥下状態、咀嚼に留意する必要があります。

牛乳

カルシウムを多く含む食品で手っ取り早い食品として牛乳が挙げられますが、苦手な人には食べやすい調理法や工夫について指導します。

また、乳糖不耐症の患者には温めることや他の乳製品(ヨーグルト、チーズ、スキムミルク等)や海藻、大豆製品等での代用案やレシピを準備しておきましょう。

また、肥満、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病などを合併している場合や妊婦は牛乳の過剰摂取にならないよう、低脂肪牛乳やスキムミルク、小魚や緑黄色野菜などからのカルシウム摂取を指導します。

特殊食品

どうしても食品からの摂取で充足させることが難しいケースには、カルシウム強化食品を紹介すると良いでしょう。
パンフレットやサンプルを準備しましょう。

細かいところまで配慮しながら指導していく必要があるのですね

栄養指導は画一的な指導ではなく、オーダーメイドでなくてはいけません

まとめ

骨粗しょう症の診療の進歩は、ここ数年で目を見張るものがあります。しかしながら全国の骨粗しょう症患者の20%程度しか管理されていないと言われています。

骨粗しょう症の食事療法では、これだけを摂取すればいいというものではなく、エネルギーと栄養素バランスに留意することが大切です。

また、運動や生活にも留意すべき点が多々あります。

早期にチームで患者と関わることでより効果的な指導を行うことができると言えます。

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