公開日:2016年8月26日

大量調理の特性、特徴

はじめに

現在は、多くの施設で給食管理の委託業者が入り、栄養管理を行う者と給食管理を行う者の業務の棲み分けが確立されつつあります。なので、調理場での経験をすることなく、献立作成の業務に就く管理栄養士が多くなっています。しかし、その施設の調理環境や条件を知らなければ、献立作成や調理管理に支障を来しかねません。調理中の現場に入ってみるもよし、調理師との人間関係を築くもよし、今の環境がどうなっているか、知る方法はいろいろあると思います。自分のできる方法でぜひ試してみてください。

大量調理の目的

給食施設の食事計画に基づいて作成された献立を、施設の調理条件のなかで、衛生的に安全で、美味しく、食事として満足できるものを提供することです。

調理条件は、施設によって大きく異なり、調理時間や施設の設備、調理従事者の人数や技術など、課題となる点がそれぞれあります。

そのなかで、課題をクリアし、諸条件を効率よく使って、一定の品質で毎日の食事を提供しなければなりません。

一定の品質とは、味の美味しさだけではなく、提供する料理の形状、テクスチャー、温度など総合的な美味しさ、つまり料理の美味しさを示します。

そのためにも、施設に見合った調理操作の標準化が必要であるといえます。

大量調理と家庭で行う少量調理との違い

ひとつの料理を調理する量が多いため、調理操作の時間が長くなること調理時間を短縮するために、調理作業は複数の調理従事者の協同作業や機械化が行われること

調理後から喫食までの時間が長いために起こる品質の変化や、衛生的安全性の面からも検討が必要になること

大量調理の特徴

余熱が大きく、加熱時間が短縮できるため、省エネルギーになる。

そのため、余熱を考慮した加熱条件を設定する必要がある。加熱条件が、色やかたさ、テクスチャー、味、さらには栄養成分の変化に影響する。

加熱中の蒸発率が低いため、加える水やだし汁の量は少なめにする必要がある。そのため、煮物では加熱の度合いや調味の不均一が起こりやすく、また、炊飯では沸騰までの時間の管理が重要といえる。

大量調理を計画するうえで考慮しなければいけないこと

廃棄率

廃棄率は食品成分表に記載されているものが基準となりますが、実際の調理行程で食材の質や旬、調理従事者の技術や作業の機械化などに影響されます。

少量では誤差であったとしても、大量になるとその差異はより大きくなるので、独自の廃棄率を算出し、発注量の標準化をはかる施設もみられます。

洗浄

食材の洗浄により、それに付着する水分量が多くなります。そのため、調味割合の不正確化や加熱時の温度低下、温度回復の遅れにつながる可能性があり、結果、出来あがりの品質に影響を及ぼします。

湿式加熱

加熱する食材の量と質、水分量によって加熱に要する時間が変わってきます。

また、食材自体の重さや余熱のために煮崩れを起こすこともあり、出来あがりの色や香り、食感、栄養素の損失量にも影響がでます。

これを防ぐために、料理の種類によって切り方や加熱条件、加熱時間などを工夫する必要があります。

乾式加熱

炒める、焼く、揚げるなどの調理法は、熱源や機器の性能、食材を投入することによる温度低下と適温までの回復時間を把握し、品質低下をまねかないように適正化する必要があります。

調味

少量調理に適した調味割合を、そのまま大量調理に用いることはできません。

これは、調理器具、火力、水分損失量に違いがあるためで、料理ごとに、調味の主体が具材であるのか、だし汁であるのか、また、加熱による水分蒸発を考慮する必要があるのかないのかを考える必要があります。

実際に、調理したものの食味テストを行い、より適した調味割合を設定します。

温度

加熱調理終了から喫食者のもとに届くまでの時間は、給食数、調理員数、配食の方法、施設の条件などにより違ってきます。

各施設もこれらを考慮し、計画を進めますが、保温や保冷の機能を備えた機器や食器、配膳車の利用が一般的になってきています。

それらの工夫においても課題があり、保温中にも水分量が失われることや、味、色、香り、食感などさまざまな点ですこしずつ劣化が進んでいることが挙げられます。食味テストで実際にどのような変化が起こっているのかを確認する必要があります。

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