公開日:2016年8月26日

大量調理で使用する調理機器

はじめに

大量調理を行ううえで、調理工程の機械化は、作業の効率化と品質管理の容易さから利点があると考えられ、施設が大規模になるほどその効果は大きいといえます。大量調理における機器は、予定の時間内に効率よく、そして安全に調理・供食するために必要なものを選定します。施設の規模によって、求める機械化の程度が異なり、必要な機器も異なるので、生産性と品質管理の面からの検討が大切です。

多くの施設で必要とされる調理機器

水圧式洗米機

洗米はぬかやゴミを洗いおとす操作で、洗米による米の変化は、炊きあがりの飯の品質に大きく影響します。

水圧式洗米機は、水圧を利用して米を水と一緒に循環させながら洗米するもので、最も普及しているといえます。しかし、近年は無洗米を使用する施設も多くなっており、この作業が不要となる場合があります。

洗米機の容量は1回の洗米量15、20、30kg用などがあり、釜の炊飯量に合わせて洗米したほうが作業の標準化が容易です。

また、洗米量が多くなると洗米時間も長くなり、考慮が必要です。洗米時間は米4~5kgに対して2~3分を目安とし、洗米時間が5分以上になると吸水後の米粒が砕けやすい、炊きあがりの飯がべたつくなど、支障が出てきます。

一定の品質の飯を提供するには、洗米量と洗米時間が重要となります。

球根皮むき機(ポテトピーラー)

球根野菜類の皮むき機で、大量調理では不可欠な機器のひとつです。主にじゃがいもやさといもの皮むきに使用され、たまねぎなどに使用することもあります。

1000食以上の食数を提供する施設では、冷凍食材を使用する場合もあります。

容量は1回7~8kg、10~15kg、20~30kgなど各種あります。ピーラー操作時間と廃棄率の面から、1回の処理量はカタログ表示の70%ほどが効率よく働きます。

ピーラーの操作時間は、穫れたてか、貯蔵していたものかなど、野菜の状態や1回の処理量によって異なります。

処理量がおなじ場合、ピーラー操作時間を長くすると廃棄率は高くなります。したがって、ピーラー操作時間は最小限にとどめることが無駄な廃棄を増やさなくて済むといえます。

フードスライサー

野菜切截機のなかで最も広く使用されており、スタンド型、卓上型など種類があります。

切截作業を機械化することは、かなり効率的といえ、食材、切り方および調理目的により出来あがりの善し悪しに影響するので、適切に機器を使用する必要があります。

包丁で切ったものに比べて、トマトやレモンなど切截後の野菜からの放水量が多い食材もあります。

フライヤー

給食の献立は、揚げ物の頻度が高いため、必要度の高い機器です。自動温度調節式の自動フライヤーは、一度にたくさんの食材を、均一に揚げることができ、比較的品質管理が容易な特徴があります。

フライヤーの能力は、油槽の表面積と油量によって決まり、それらが大きいほど処理能力が高くなります。

揚げたい材料の投入量は、油量、揚げ物の種類、材料の種類および設定温度によって異なります。

投入量は油量のおおよそ10%を目安とし、揚げ物製品として必要な揚げ時間内に、材料投入によって低下した油温を回復できる量がその割合です。

油温を高く設定することで、投入量を増やせるという工夫もできますが、厚みのある材料の場合は内部まで火が通るまえに表面が焦げてしまう可能性があるため、注意が必要です。

スチームコンベクションオーブン

焼く、煮る、蒸すなどの多彩な調理機能を備え、再加熱にも適しています。オーブンにスチーム機能が組み込まれ、それぞれ単機能と同時併用機能を持ちます。

オーブンにスチームを加えたコンビモードでは、焼き色をつけずに短時間で加熱したいものや、水分蒸発を少なくしたい卵料理などに適しています。

スチームコンベクションオーブンは、品質管理が容易で便利であるといえますが、料理ごとに調理機能の選択、加熱温度や時間をあらかじめ検討し、設定しておく必要があります。

竪型ガス炊飯器(自動式)

炊飯機器の開発は日々進んでおり、今日では手動式から自動式に、さらにはタイマー炊飯器が一般的になっています。

さらには、火加減パターンが自動化され、誰でも美味しい飯が炊けるようになっています。

自動式竪型ガス炊飯器は、炊飯釜が防熱された庫内にあるため、保温性が高く、加熱時間の短縮と蒸らしに有効的といえます。

炊飯釜が2段3段になっているもの、それが2列組見合わせたものなどがあります。

ひとつの釜が持つ炊飯能力は、5、7、10kgなどがありますが、能力100%の炊飯量では、釜の上層と下層の飯に差異が生じやすくなります。そのため、均一な品質の飯にするには、炊飯能力の70~80%の量をおすすめします。

加水量は、米重量の1.4~1.5倍とされ、これは、米が飯になるために必要な水分量と蒸発量として考えられる水分量で、出来あがりは米の2.2~2.3倍となります。

蒸発量については、炊飯器とふたの密閉度に影響を受けるので、施設で実測し、検討が必要になります。

加熱時間は、自動式では点火から消火まで約25分、蒸らし15分です。点火から消火までの時間は、炊飯機器によって多少変わりますが、美味しい飯に炊き上げるための加熱時間は知っておくほうがいいでしょう。また、手動式での加熱時間は、沸騰まで10~15分、弱火15分、蒸らし15分を目安にします。

回転釜

回転釜は、湯を沸かす、だしをとる、ゆでる、汁物、炒め物、煮物、揚げ物、炊飯など各種の調理に使用でき、材質は鋳鉄、アルマイト、ステンレスなどがあります。

釜底が湾曲しており、加熱面が広く、熱源とともに二重に覆われた構造になっているため、熱エネルギーの利用率が高い利点があります。

釜の周辺と中心部では熱の対流が異なり、煮物などでは中心部の温度上昇速度が遅れる場合があるので、加熱途中での撹拌が必要になります。

また、回転釜の容量、熱源の大きさ、釜の材質や厚みなどは釜の熱容量に関係するので、施設にある回転釜の水量kgや水量の高さcm、沸騰までの時間を作図しておくと便利です。

ガスレンジ

上部がコンロ、下部がオーブンになっているものをレンジといいます。

ガスコンロは、鍋などの調理器具とともに炊く、炒める、揚げるなどのほとんどの調理が可能です。

しかし、1回の調理量に限界があり、煮物、汁物では50~100食、炒めものでは30~50食、焼き物では10~15食が限度といえます。

コンロはバーナー部分と五徳で構成され、バーナーのサイズにより供給されるガス量が異なり、発熱量が決まります。サイズはレンジにのせる鍋の大きさと調理する量を考慮して決定します。

オーブンは、スチームコンベクションオーブンが普及したこともあり、それで代用されることが多く、施設によっては使用しない場合もあります。

温蔵庫

調理した料理を適温で提供するために、加熱処理後から配食するまでの間、保温する機器が温蔵庫です。

最も広く用いられているのが、乾燥タイプですが、加湿、再加熱および湿熱加温機能を備えたものや遠赤外線放射熱を利用したものなどもあります。

いずれの場合も、保温機器の機能を把握して、保温条件を標準化する検討が必要です。

保温中の料理は、設定温度を高くすると品温も高くなる傾向にありますが、庫内温度の変化に伴い、品温が変化するものと庫内温度の影響を受けにくい料理とがあります。

また、温蔵庫投入時の品温が低いと、品温の回復が遅れるため、調理後はすみやかに温蔵を開始することが重要といえます。

急速冷却機(ブラストチラー)

加熱後の温かい料理を急速に冷却するための機器で、強制冷風(マイナス4℃以下の凍結温度の空気)により、出来たての熱い料理を短時間でチルドに冷却する能力があります。

料理を急速に冷却することは、細菌の増殖する危険な温度帯である10~65℃をできるだけすみやかに通過させ、衛生的な安全を保つことからも重要視されている機器です。

ブラストチラーを用いることで、加熱後30分以内に20℃付近、または60分以内に10℃付近まで冷却するという、「大量調理施設衛生管理マニュアル」を遵守できるようになり、当日にゼラチンゼリーなどの冷たい料理の提供が容易になっています。

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