公開日:2016年8月25日

整形外科疾患における体重コントロール

ポイント

ここでのポイントは

  • 変形性関節症では肥満を認めることが多い
  • 肥満を認めた場合、食事療法と運動療法を組み合わせた減量が有効
  • 栄養・食事療法は低エネルギー・高たんぱく質が望ましい

です。

目次

整形外科的疾患と肥満の関係

変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性脊椎症、腰痛症は肥満が危険因子です。日本肥満学会の『肥満症診断基準2011』によると、整形外科的疾患における肥満は、脂肪細胞の量的異常がより強く関与しています。

これらの治療において、肥満を認める場合には、食事療法と運動療法で減量を進めます。

とくに、肥満は変形性膝関節症の増悪因子であり、女性で強いリスクが認められています。肥満があると関節に体重の何倍もの圧力がかかるため、重症化につながります。

体重が増えると、関節に負担がかかり、痛みが生じ、痛いからといって歩かないと、更なる肥満の要因となり悪循環におちいります。

栄養・食事療法

症状を緩和させて負担を軽くするためにも減量は有用です。

体重が5%減少すると、変形性膝関節症による障害の程度が軽減します。栄養・食事療法では、摂取エネルギーの見直しが重要になります。

その際、筋肉量を保ち、筋力低下を防ぐために必要なたんぱく質と微量元素の摂取量に留意しながら、総摂取エネルギーを減らすように努めることが重要です。

エネルギー摂取量を少なめにしますが、基礎エネルギー消費量を下回らないこと、たんぱく質は十分に摂取することがポイントです。

食生活環境

症状によっては痛みのため行動の制限を伴い、外出の機会が減る、家事をへらすなど、生活活動強度が下がってしまう場合があります。

また、それにより「つい」「もったいない」「なんとなく」などといった理由で食べてしまう食生活になりがちです。1日の生活パターンや運動量の変化を確認し、生活リズムが乱れないようにサポートする必要があります。

入院中の場合には、栄養食事指導で動機付けを行い、本人、家族へ入院中の持ち込み食を控えるよう指導をする他、看護師やリハビリスタッフと協働して病棟内歩行をすすめるなど、ベッド外での活動を増やすようプランニングをします。

また、体重測定を定期的にモニタリングすることで、アウトカムを得るだけでなく、本人への意識付けにもつながります。

摂取エネルギー

減量は1ヶ月に5~10%の減量を目指します。定期的に評価を行い、未達成であれば、食事療法の強化や他の治療法(運動・薬物療法)の見直しも行います。

入院の場合は持ち込み食を食べていないかの確認も必要です。

摂取エネルギーの設定では、標準体重(kg) ×20~25kcal/dayとします。また、日本肥満学会では、BMI30以上かつ骨・関節疾患のある肥満患者には1000~1400kcalのエネルギーコントロール食を勧めています。

1日3食にエネルギーを分配する際も交感神経の活性が高まる朝食で多めに摂取し、副交感神経の高まる夕食の時間帯での摂取量に注意することも必要です。

たんぱく質

たんぱく質は標準体重(kg)×1.0~1.2g/dayとします。エネルギー制限を行う際には不足すると体タンパクの崩壊につながるため注意が必要となります。エネルギー比率としては15~20%が理想です。

脂質

たんぱく質は標準体重(kg)×1.0~1.2g/dayとします。エネルギー制限を行う際には不足すると体タンパクの崩壊につながるため注意が必要となります。エネルギー比率としては15~20%が理想です。

炭水化物

糖質は100g/day以上とし、エネルギー比60%以上とします。

微量元素

ビタミン・ミネラルの補給にも十分な配慮が必要です。エネルギーを抑えると微量元素の不足に陥りやすい食事になってしまうことも多いです。

食事内容を十分に聞き取り、低エネルギーでもバランスのよいメニュー提案を行います。

食物繊維

食物繊維は25g/day以上とします。関節痛や腰痛により運動量が低下すると、便秘傾向に陥る人も少なくありません。

咀嚼回数が増え、満腹感が持続する食品に多い「不要性食物繊維」と、エネルギーが低いなかで満腹感が得られる食品に多い「水溶性食物繊維」の両方を食事に取り入れる事も工夫の一つです。

運動療法

膝・腰などの問題を抱えたなかでの運動療法は、実施が困難な場合も少なくありません。

しかし、BMI30以上の変形性膝関節症患者を対象にした食事療法と運動療法による減量プログラムでは、体重減少と身体機能改善に有効であったという報告があります。

そこで、減量目的としてウォーキングなどの有酸素運動が可能であれば、1回30分週5日以上の運動をすすめます。

筋力低下や拘縮予防、関節の可動域を保つためにも、中殿筋、大殿筋、大腿四頭筋のレジスタンストレーニングを取り入れることもより効果的です。

食事療法のみで減量すると筋肉量が減少しやすいため、有酸素運動とレジスタンストレーニングを併用します。

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