【必見】管理栄養士、栄養士としてコミュニケーション力を上げる

管理栄養士の烏丸さゆりです。
このコンテンツでは下記の方に向けてお届けします。
- コミュニケーションに自信がない管理栄養士、栄養士さん
対象者の方は続きをお読みください。
【仕事別】管理栄養士、栄養士のコミュニケーション力を上げる必要性
栄養士の仕事は研究職や開発などに従事する場合を除いてコミュニケーションが重要になってくる職種です。
正確に言えば研究職でも開発職でも職場に「人」がいる場合であれば、一切人と関わらずにすむということはなく、コミュニケーション能力が高いに越したことはありません。
ここでは特にコミュニケーションスキルが必要である職種とその理由をまとめました。
《病院》
病院で勤める場合、給食委託会社であっても派遣会社であっても直営であってもー
- 「調理師」
- 「職場スタッフ」
- 「患者」
など沢山の人と関わることになります。
厨房業務のみに従事する場合は調理師や調理補助スタッフ、病棟での栄養管理を任されたのであれば医師始めコ・メディカルや入院患者、外来での栄養指導でも医師や患者との関わりは非常に密です。
厨房内では基本的には栄養士が衛生指導、献立の指示を行い厨房スタッフの管理をします。
ここで、うまくコミュニケーションが取れないと、 調理師との人間関係に悩むことになります。
病棟では、患者の栄養管理を行ううえで、医療チームを組んで関わっていくことになるので、コミュニケーションが悪いと患者情報をうまく共有できず、いい栄養管理に繋がらないことも多々あります。
外来での栄養指導などでは、例えば指示エネルギーや指示たんぱく質量の変更が必要と感じた場合に、担当医(栄養指導オーダー医)にその必要性、理由などを説明する場面もあります。
人間関係については【体験談】管理栄養士、栄養士の人間関係。私が乗り切った方法をご覧ください。

《老人保健福祉施設》
老人保健福祉施設で認知症患者が多い施設になると、殆ど会話にならずコミュニケーションをとる必要がないのではないかと思われがちです。
老人保健福祉施設は 意外と沢山の「人」との関わりが必要 になってきます。
老人保健福祉施設には常勤の医師がいないことが殆どですがー
- 介護士
- 看護師
- 社会福祉士
- 介護支援専門員
ーといった施設スタッフとー
- 調理員
- 栄養ケア・マネジメント
ーを行っている施設では入所者の家族、在宅以外での退所が決まればサービス担当者会議で退所後の受け入れ先施設等のスタッフと施設内のスタッフ以外にも多岐に渡ります。
また、認知症や介護度が高くコミュニケーションが取れない入所者が多い施設であればこそ、意志疎通ができない相手にどうー
- 関わっていくのが良いか?
- どう添っていくのか?
- 常勤医師が不在の場面で事故なく安全なケアを行うにはどうしたらいいか?
ーといったことを関わるスタッフで密に検討しなくてはならない場面が多いのです。

《保育園》
保育園の栄養士業務は基本的には食事作りとおやつ作り、関係書類の作成といったことになります。
しかしながら、保育士のように子供達に食事を食べさせたり、午睡時の寝かしつけの手伝いを行ったり、園児の受け入れ、送り出しなどの業務に従事するところも少なくありません。
そのようなことから、調理場のスタッフのみならず保育士、園児、保護者との関わりも多いのです。
保育園の栄養士は少数であることが多く、献立、発注、食材納品までを全て一人で行うところも少なくない為、卸業者とも日々関わりが深いです。

《食品メーカー》
研究、開発部門以外の部署に配置された場合栄養士は営業も行います。
自社製品を営業するには当然コミュニケーションスキルが高くなくては業績が上がるはずもありません。
例えば経管流動食や栄養補助食品など栄養関連の商品を営業するにしても、栄養士にのみ営業すれば良いというものではなく、食事の指示を出す医師に説明できることは必須です。医師を納得させるだけの知識に加えコミュニケーション能力も必要です。
経管流動食を看護師がセットする施設では、取り扱いについて看護部長に説明する必要もあります。
経管流動食の新規採用に関しての決裁が事務部門であれば、事務長との関わりもあるでしょう。
また、 給食部門が給食委託化している施設では給食委託会社の責任者(必ずしも栄養士ではなく、調理師であることもしばしばあります)との交流も必要になってきます。
このように、栄養士と言っても働く職場によって関わる対象者は多少異なるものの、コミュニケーション力、スキルは必ず必要になってくるのです。
コミュニケーション力を上げるために意識しておきたいこと、やるべきこと1
事例①
沢山の人を前にすると上がってしまってうまく話せない!コミュニケーションどころじゃない!!
病院などでは集団栄養指導、食品メーカーの栄養士なら医師や看護師などに行う新商品のプレゼンテーション、保育園では保護者を対象にした食育指導など、沢山の人の前で話をする機会というものが栄養士は意外と多いものです。
対大勢の人・・・だとより緊張するので 1人の相手に語り掛けるように話しましょう。
うなずきながら聞いてくれている相手やよく目があう人などと誰かに決めて、その人に話しているつもりで話すと良いでしょう。
また、日々営業を行っている際に親しくなったスタッフに事前に前のほうに座ってもらうようお願いしたり、うまく話せなかったりするときにはサポートしてもらえるよう頼んでおくのも心強いです。
そこから徐々にコミュニケーション力が身に付いていきます。緊張を相手に伝えないように無理にでも 「笑顔」 を作ることもコミュニケーションスキルの一つです。
事例②
調理師さんや年上の人とのコミュニケーションの取り方が分からない!!
意外とプライドが高い調理師、年配のスタッフなどは最初からこちらに対して斜に構えられるところもあり、コミュニケーションを取りたくとも近寄りがたいということも多々あるでしょう。
この手のタイプには思いきり 相手の水準に自身を投じる(合わせる) とうまくいくことがあります。
例えば調理師であれば、その人と同じように調理場の仕事に入ります。 /p>
同じ釜の飯を食う・・・といったように、共に早番をしたり遅番をしたりして一緒にご飯を食べると「身近な栄養士」「自分たちを分かってくれる栄養士」と受け入れてもらえることがあります。
年配の方など、世代が違う人とうまく関わるためにも、その人に合わせることです。
また、自分が若いころは主婦など、共通の話題がなくて会話一つにも困ってしまうということもあると思いますが、料理を教わったりその人の子供の話を聞いたりというように、こちらから話をする必要はなく、 相手に話しをさせればよい のです。
事例③
病気の患者などは自分自身の身体のことなので、非常によく勉強していることもあり、新卒の栄養士よりよほど知識が深いこともあります。!!
「この栄養士がどのくらいのことを知っているのか?」と試されるような場面もあります。
また、「食べることをいちいちうるさく言ってくる煩わしい存在」と最初から栄養士に対して拒否的な患者も多々あります。
そんな患者とラポールを形成するのは至難の技です。
患者は「自分を分かって欲しい、認めて欲しい」という気持ちと「なんとか良くして欲しい」という気持ちを持っています。
しかしながら、単なる「同感」になってしまっては意味がありません。
栄養指導料を払って、単なる世間話で終わったのでは栄養指導の意味はありませんし、「この栄養士さんに言われたことをやったら良くなった!」の結果がついてこなければ患者からのみならず、栄養指導のオーダーを出した医師からも信頼は得られません。
たった一度の栄養指導で患者とコミュニケーションをとり、ラポールを形成すること、結果を出すことは難しいです。
複数回栄養指導のオーダーを入れてもらうことは必須です。
初回の栄養指導ではまず「共感」、2回目以降に少しずつ「指導」、互いに分かり合ってきたら時として「叱る」ことも必要です。
その人を知る ことで、その人に合った栄養プランを作成することに繋がります。
勿論、 専門職としての知識の習得や教授は大前提です。
「さすが!」と思わせること も信頼関係やコミュニケーションには必要です。
対象は患者に限らずコミュニケーションを取りたい相手のことは名前で呼ぶようにしましょう。「すみません」とか「師長さん」と声をかけられるより「○○さん」「△△師長さん」と声をかけられたほうが距離は縮まります。
まとめポイント!!
このように栄養士はコミュニケーション力が重要な職種です。苦手だから・・・では済まないことが多いのです。
しかしながら、ローマは一日にして成らず。急に身に付くものでもありません。
少しずつ時間をかけて意識したり、できそうなことから始めたりしていきましょう。