調理師になるには。通信教育でも可能?社会人や主婦でもなれる?

管理栄養士の烏丸さゆりです。
このコンテンツでは下記の方に向けてお届けします。
- 調理師になるにはどうすればよいかを知りたい
対象者の方は続きをお読みください。
調理師になるには資格が必要です。
調理師とは、調理師法に基づき、厚生労働省が認定する国家資格。
サービスとして食事を提供する人に必要な知識や技能を身につけた人に与えられます。
レストランや学校給食施設、将来自分でお店を開きたいと考えている人なら取得するべきだ、と漠然と考えている人多いのではないでしょうか?
ここでは調理の現場で働く人なら知っておきたい、この資格について解説していきます。
調理師になるには?調理師の資格がなくても働くことはできる
そもそも調理師資格に関して、勘違いされがちなことがあります。
それは 「資格を持っていなくても給食施設や飲食店などで働ける」 ということ。
給食施設の場合は、施設の規模に応じて1人以上の栄養士や管理栄養士を置くことが国から求められています。
一方で、調理師の有資格者を置かなければいけないという規定はありません。
仮に独立してレストランを開業しようとした場合でも、「食品衛生責任者」の資格は必要ですが、調理師免許を持っていなければいけないという決まりすらないのです。

調理師資格は2つのルートで取れる
調理師になるには以下の2つのルートがあります。
時間のない人でも取得できる道筋はあるので、自分のライフスタイルに合った方法を選びましょう。
調理師養成施設を卒業する
厚生労働省が指定した調理師養成施設で勉強して卒業するというルートです。
指定校は各都道府県にあり、1年~2年制の専門学校が多いのですが、ほかにも短期大学や高等学校でも指定を受けているところがあります。
調理師試験に合格する
調理師になるには学校に通わなくても、各都道府県が実施する調理師試験に合格すれば調理師資格を得ることができます。
どこの自治体も基本は年1回のみですが、神奈川県のみ年2回試験を行っています。
調理師試験を受ける際、ひとつ注意しなければいけないことがあります。
それは受験資格に実務経験が求められること。
給食施設の場合は「1回20食以上、もしくは1日50食以上の調理を行っている施設であること」という条件も追加されます。
大多数の給食施設はこの基準をクリアしていますが、試験目的に働くのであれば、最初にしっかりと確認しておくことが求められます。
なお、働く際はフルタイムである必要はありません。
パート契約でも週4日以上かつ1日6時間以上の勤務実績があれば受験資格として認められます。

働きながら調理師になるには?夜間や通信コースはあるの?
現状、調理とは関係ない仕事についている人が学校に通って調理師の資格をとりたいと考えた場合、どうすればよいのでしょうか?
この場合は、夜間部がある学校を選びましょう。
1日の学ぶ時間が少ない代わりに、卒業までの年数を若干長くすることで無理なく学べるようになっています。
ただし、夜間部があるのは全体の中でも一部のみ。
住んでいる場所によっては、通うのが難しいというケースもあるでしょう。
インターネットで「調理師 通信教育」などと検索するといくつかの結果がヒットしますが、これはあくまでも調理師試験合格対策の勉強をするためのもの。
通信教育を終えたからといって、無試験で調理師免許が交付されるわけではないことに注意しましょう。

調理師試験の難易度は?
調理師試験の難易度は決して高くありません。
試験科目はー
- 「調理理論」
- 「食品衛生学」
- 「公衆衛生学」
- 「栄養学」
- 「食品学」
- 「食文化概論」
ーの6科目に分かれています。
科目名だけを見ると何だか難しそうに思ってしまいますが、試験は4択のマークシート形式で行われるうえ、そこまで難しい問題は出題されないので、通常の対策を行っていれば合格は困難ではありません。

調理師と栄養士の資格内容を比較
ここまで調理師の資格内容や取得方法は理解できたと思いますが、同じ調理系の資格「栄養士」とはどんな違いがあるのでしょうか?
調理師と栄養士の資格の違い
調理師は“調理に関わる栄養や衛生などの知識・技術を習得した者”とされています。
前述にもありましたが、栄養士は給食施設や病院施設、介護施設などに必ず置かなくてはならない規定もあるため、就職をする際に有利な場面があります。

栄養士の資格を取得するためには?
栄養士を取得するためには厚生労働大臣の指定した栄養士養成学校または管理栄養士養成 学校で学び、卒業する必要があるため、調理師のように独学で勉強しても資格を取得することができません。
栄養になるにはの詳細は栄養士になるには 資格の難易度 通信や独学で取得は?それぞれの取り方をご覧ください。
栄養士と調理師の資格はどっちが得?
資格を取得する難易度は養成施設に必ず通わなくてはならないという点で「栄養士」のほうが難しいのではないかと思います。
また、栄養士の上級資格である「管理栄養士」は合格率が約45%と中程度の難易度を要する資格になっています。
個人的な意見としては資格の名を表で使いやすいのは「栄養士」だと思います。
同じ調理系の資格ですが、実際に踏み込んでみると調理師・栄養士はまったく異なっている資格です。
調理師の就職は調理師求人転職プロをご覧ください。
調理師の上級資格について
栄養士を取得した後に管理栄養士というステップアップがあるように、調理師にも専門調理師・調理技能士という上級資格が存在します。
※調理師学校を卒業せずに調理師免許を取得した人は8年以上の実務経験が必要になります。
科目は
- 「日本料理」
- 「西洋料理」
- 「麺料理」
- 「中国料理」
- 「すし料理」
- 「給食用特殊料理」
にわかれていて、1回の試験でこの内の1つを受験することができます。
この資格を有していると給与アップを望めるだけでなく、調理師養成施設で
- 「食文化概論」
- 「調理理論」
- 「調理実習」
の教員資格が認められます。
調理師だけで考えると資格を有している人はたくさんいますが、専門調理師・調理技能士を取得している人はなかなかいません。

【体験談】調理師になることのメリットとデメリット
調理師になることのメリットは料理を通して人間の生活を豊かにできる点です。
1日3食、食事をあたりまえにとっていますが、食事が人間に与えるパワーはとても大きいです。
衛生的・安全においしい料理を提供できるという部分は調理師ならではの特権であるでしょう。
デメリットは実務をおこなうと力仕事が多いことや、その分の対価を感づらいところです。
ただし、経験を積んでから自分のお店を持てば可能性は広がります。
確かに調理師資格を有していなくてもお店をオープンすることは可能です。
しかし、1年でも2年でも調理師養成施設に通ったという経験は必ず自分のためになります。
参考サイト