社員食堂で働いた栄養士の本音
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 社員食堂で働こうと考えている方
対象者の方は続きをお読みください。

- M・S
- 46歳
- 2年
- 洗浄・調理補佐
社員食堂で働いてみて実際辛かったことは何でしょうか?
衛生面が残念だった。
私が携わっていた厨房は、社員食堂と言っても、 昼食のみ40~50食程度の小規模で賄扱い だったからかもしれませんが…。
コンクリート打ちっぱなしにクッションフロアーの床材で、洗い場のシンクも小さかったので、洗浄中に床に水が垂れ、フロア―材がめくれあがっている個所もあり、 害虫の居住スペースを作っている うだった。
もちろんゴキブリは大小問わず目にしたし、電子レンジの表示版のところに発見した時は、気持ち悪かった。
調理でも、粉末だしが鍋の底に見えるくらい入れて、焼き魚をサラダ油たっぷりのフライパンで焼いているのも、耐え難かった。
とにかく、コンロ回りや五徳に限らず、シンク周りまでもが油汚れでひどく、 五徳は暇を見てカリカリと擦っていた。
働く前と働き出してからどんなギャップがありましたか?
献立は立てても、カロリーや栄養素の計算はなし。
適切な量なのか疑問もあったが、喫食者の体格が大きい人が多かったこともあり、主菜のたんぱくは多めな量だった。
でも、主菜のたんぱく以外はバイキングだったので、各人が適量を習慣的に盛り付けていた。
献立は計算するもの!という固定観念を緩めれば、他にはそれほど大きなギャップにはならなかった。
主な調理は50代の主婦で、調理に係わる資格は持っていなかったが、 お母さん的な存在だった。
調理の技術を経験の中から習得している方で、ダイナミックで大らかな調理方法、喫食者に腹痛や食中毒の症状は出たことがないと聞き、頼もしく思った。
美味しく安全に食事を提供するのは、資格がなくても大丈夫なんだと気付いた。
良かったことは何でしょうか?
ポイント!!
主な調理人がお母さん的な存在の方だったこともあって、料理は、いつも美味しく召し上がってもらえ、 家庭的な雰囲気の食堂 だった。
食事を作っている(胃袋をつかんでいる)からなのか、初めから親しみをもってもらえた。
喫食時間以外でも、ひょっこり現れる職員さんがいたり、食堂が潤いのスペースになっていた。癒しもあったのかもしれない。
また、セレクトメニューの時、うどんとそばを間違えたり、ラーメンの時は味(塩と醤油、味噌)の違うスープを出したり、大混乱で間違え配膳をしても、「俺もらいまーす」と食べてもらえて助かった。
新卒の人、社員食堂に転職を考えている人はどんな事を学んでおくべきですか?
栄養の事、人体や病気とのかかわりについて理解していると、会話の中で、突発的な栄養指導になる事もあり、聞き手側にとって初対面の緊張の中で見聞きする情報よりは、受け入れてもらいやすいように思う。
ただ、 病院で栄養指導を受けている職員に話をする時は配慮が必要。
同じ資格を持つ栄養士さんの足を引っ張らないように注意したい。
料理の種類、美味しい料理体験など、新しい情報をキャッチできるようにアンテナを張ることはもちろん。
その他に思うのは、 コミュニケーションスキルが大事 だという事。
私の場合、喫食者のほとんどが外回りのサービスマンだったこともあり、食事をするために自社に戻り、昼食と休憩を取り、午後の業務に備える。
この繰り返しの毎日を支える事が大切で、 厨房職員の一人ひとりがほんの少しの力になる と思う。
流暢に話せなくてもいいが、 自分の声のトーンや質を知っていると、相手にどんな風に聞こえているのか分かり、雰囲気も作りやすい。
どんな雰囲気を目指す食堂になるのかは、厨房ごとに違うと思う。
直営と委託と雇用のされ方の違いで壁や距離を感じてしまうこともあると思う。
重要!!
でも、同じ建物で働く者同士 気持ちよく働けると楽しい。
それにはコミュニケーションは必要なスキルだと思う。
他、何か実際の話
とある部長は健康診断で肝機能の数値が悪かった。その部長の昼食は他の職員よりも豪華なメニューだった。
とある課長も健診のデータが悪く肥満体型だった。でも、二人とも食べる内容も量も変わらなかった。
食堂終了時間後に来る社員さん。「胃の調子が悪くて食べられないんです」と胃薬を飲んで行く。たわいもない会話をした後、その日のメニューを具材にしたおにぎりを持って、午後の業務に着く…を繰り返す。
胃薬を食堂で飲んでくれる日はまだ調子がよく、食堂に来られないくらい気分が滅入りながら業務をこなす日もあり、しばらくぶりに食堂に来た時はやはり胃の調子は良くない。
でも、たまに胃の調子がいい時もあって表情は良いとホットした。
上記は個人の感想です。