【体験談】管理栄養士、栄養士の人間関係。私が乗り切った方法

管理栄養士の烏丸さゆりです。
このコンテンツでは下記の方に向けてお届けします。
- 人間関係に悩んでいる管理栄養士、栄養士さん
対象者の方は続きをお読みください。
仕事をしていると人間関係で辛い思いをすることやうまくいかないことが多々あります。
管理栄養士、栄養士が退職の理由として一番大きい部分を占めるのは人間関係であると言われています。
体験談から、どう乗り越えるのか?対処の仕方、どうしても対処できないような限界のケースなどについて参考にしてみてください。
ここではー
ーこれらを解説します。
管理栄養士、栄養士の人間関係の体験談
体験談①調理師さんが怖い!
栄養士になりたての新卒の頃、とにかく調理師さんが怖い!栄養士を目の敵にしているのかー
- 「調理師より高い給料もらっておきながらこんなことも知らないのか(できないのか)」
- 「こんな献立は難しすぎて作れない」
- 「仕事は教わるものじゃない。見て覚えろ」
ーといった具合に、後から入職した若い栄養士の指示に従うのが気に入らないのか、厨房内での仕事もまともに教えてくれるわけでもなく、失敗すると陰口を叩かれる・・・といったようなこともしばしば。
また、衛生指導を行ってもー
- 「そんなしょっちゅう手洗いなんてやっていたら仕事にならない」
- 「味見をしないといけないのに、マスクを着用していたら煩わしい」
ーといったように反発されることもありました。
《私が乗り切った方法》
とにかく「栄養士が上、調理師は下」などという組織内の位置づけは忘れ、 ひたすら調理師さんから教わるつもりで、何を言われても素直に耳を傾けていました。
最初の頃は教わりに行っても「栄養士さんなのにそんなことも知らないの?」などとバカにされるような発言も多々ありましたが、 ひたすら我慢。
ただ、衛生上の問題は患者さんや利用者さんに迷惑をかけることから、当時給食委託会社に勤めていたこともあり、事業部の栄養衛生課の責任者に連絡をして栄養衛生課員による衛生指導を行ってもらうようにしました。
厨房業務に慣れるまでは、業務スケジュールより長く厨房に入るように心がけました。
また、就業予定時間より早めに出社し、自分の仕事が終わっても掃除や整理整頓をしてから退社するなどして、 「やる気」と「素直さ」 をアピールしました。
こんなことをひたすら続けていると、そのうちに元々の基礎知識があることや記憶力、体力があることもあり、厨房業務はある程度早くこなせるようになります。
調理師さんは「現場ができてこそ」的な気持ちがあるようで、まず自分たちと同じラインに立ち、 ついてこられる栄養士を「一人前」とみなす傾向にある人が多いように感じました。
就職して1年も経過すると、反発的な態度はなくなり、「現場での一人前」と認めてもらえると急に親しくなれることや、信頼してもらえるということが分かりました。
体験談②給食委託会社の栄養士はやる気がない?!
給食委託会社で配属されていた病院には、直営の栄養士がいました。
契約上業務分担で、献立作成や栄養指導や委員会への参加や病室訪問などは直営の栄養士さんが行っていました。
給食委託会社の栄養士は日計表、在庫帳、衛生管理表等を担当していました。
基本的にほぼ毎日厨房業務で、給食委託契約内容が変わらない限り、 この職場にいる限り栄養士としての業務を行うことはなく、実践的に学ぶ機会もないことが辛かったです。
また、食事についての問い合わせの連絡を病棟から受けた時なども、自分が質問に答えられる場合でも最初から 「病院側の栄養士に代わって下さい」 と信用されていないような対応をされたこともありました。
病院職員、給食委託会社職員という両者の間の溝がなかなか埋まらず、いつもぎすぎすした雰囲気で互いに壁を作っているような関係でした。
《私が乗り切った方法》
直営の栄養士、配属先の施設職員から、 給食委託会社の職員は不勉強で、与えられた仕事しかしない「怠け者」「責任感がない」というイメージを持たれている ことが分かりました。
まず、同職種である病院の栄養士とコミュニケーションを取ろうと、県の栄養士会に入会したい意志を伝え、また配属先の病院には患者会があったこともあり、 患者会に是非参加したいと「やる気」をアピールしました。
研修会の内容で分からないことは質問して教わりました。
給食委託会社の栄養衛生課員から教わることができる内容でも、 なるべく直営の栄養士に聞くようにし、積極的に交流を持つように意識しました。
栄養士として学びたいという意志を現すことで、徐々に直営栄養士から信頼され、そのうち病棟の患者さんの喫食調査にも立ち会わせてもらえるようになりました。
とは言え、給食委託会社の勤務時間内は厨房業務があって難しいことから、早番業務終了後などの時間外を使って見学させてもらうことになったので、大変ではありましたが。。。
とかく 「給食委託会社のスタッフは責任感がなくやる気がない」 と思われがちですが、専門職としては「直営」も「委託」も関係ないという気持ちや態度をしっかり相手に伝えることが大切だと感じました。
体験談③栄養士は医療職として下に見られる
老人保健福祉施設にて勤めていた頃にはさほど感じることはありませんでしたが、病院で勤めている時は 医師や看護師から栄養士は「下」に見られている と感じる場面が何度もありました。
- 給食委員会の場
- 患者ケースカンファレンスの場
- 回診立ち合いの場
- エネルギー設定量をアップしたい時
- 水分量を調整したい時
- ケースカンファレンスで発言した時
様々な場面でそれを痛感することがありました。
医師や看護師からはー
- 「患者を診てない証拠」
- 「教科書通りにはいかない。現場が分かっていない」
- 「これだから栄養士は臨床に弱いって言われるんだ」
といったようなことを言われ、レコメンデーションが取り合ってもらえないことも多々ありました。
《私が乗り切った方法》
そもそも日本の医療発祥を辿っていくと、「仏教」伝来頃とのこと。
元々仏典には病気に関する示説が多く見られ、僧侶は病に苦しむ人々に祈祷を行うことや、薬に対しての知識を得るようになっていったとされています。
そうしたなかで僧医・・・つまり今で言うところの医師のような役職が誕生したそうです。
医師の歴史は奈良時代からとも言えます。
看護師はナイチンゲールが確立していった看護精神が日本に伝わり、日本では明治時代頃には既に看護師制度は導入されていたとのことです。
では栄養士はどうかというと、栄養士の誕生は、大正14年に栄養士養成施設の「栄養学校」が設立された頃なので、歴史自体が浅いのです。
社会的評価は歴史の長さや深さと比例するのだ・・・と妙に納得する と共に、医師や看護師が「栄養士の分際で」「栄養士は臨床を知らない」と言われるのはやはり 実際不勉強で、現場を知らないことが問題だと感じていました。
ただ、いくら教科書で学習しようとも、患者と関わるケースを増やさなくては実践的知識の習得にはならず「教科書通りにはいかないのだ」と言われるばかりでした。
まず、 「栄養士は食のプロ」ということからアピールするのが一番 だと考え、アプローチは「食」から行うことにしました。
例えばー
- 「主食のごはんをおにぎりにすると食べやすいし、量を増やせそうなので主食の変更をお願いします」
ーといったようなことやー
- 「この患者さんは退院したら独居で、しかも料理が苦手とのことなので退院前に栄養指導を行って欲しいと希望されています」
ーといった具合にアプローチを行うとー
- 「エネルギーアップ」
- 「たんぱく質量アップ」
ーを レコメンデーションする場合よりスムーズに意見が通るようでした。
また、当然医者や看護師によっても栄養士に対して良心的な人もいるので、対応する相手によってアプローチ法を変えることもしていました。
栄養士の強みは「栄養」より「食」だと割り切って関わっていくことで少しずつ信頼関係を築くことができていったように思います。
信頼関係が築けると、様々なレコメンデーションが採用 してもらえるようになっていきました。
続けるか辞めるかの限界ラインを決めておく
- 「調理現場ができてこそ」
- 「やる気を感じたら」
- 「食のプロと認められたら」
といったように、一人前に仕事ができるようになること、やる気、負けん気を示すこと、 プロとしての仕事を極めることで改善できるケース は多々あります。
しかしながら、理不尽な嫌がらせ、一定水準まで(例えば栄養教育マニュアルに準じて)仕事ができるようになったにも関わらず何も状況が変わらない場合もあるでしょう。
また、その組織の体質的な問題で改善できない状況等ハード面の問題が大きい場合は限界を感じるのも無理はないでしょう。
ハード面の問題や、本人のやる気だけではどうしようもない問題にぶつかった場合、職場会議や管理職会議にて諮ってもらい、それでも解決できない場合は退職・・・ など続けるか辞めるかのボーダーラインを設けておくことも良いと思います。
まとめポイント!!
世の中には色々な人がいて、全てが自分の思い通りにはいかないことが多いものではありますが、人間関係の悩みから心を病んでしまうケースは少なくありません。
様々な方法で状況打破を図ってもうまくいかない場合は、心を壊してしまう前に転職を解決策の一つの手段とすることは決して悪いことではありません。
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