特定保健指導を管理栄養士が行う。サポートを行う上で大事な事

このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 特定保健指導に興味がある方
対象者の方は続きをお読みください。
詳しい、説明聞きたい?

特定保健指導とは?
重要!!
平成20年4月より、400~74歳までの被保険者および被扶養者については「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、医療保険者が特定健康診査とその結果を踏まえた指導を行うことが義務付けられました。
これが特定保健指導です。
対象者はメタボリックシンドロームの該当者とその予備軍であり、健診結果と質問項目により対象者を生活習慣病のリスク要因の数に応じてー
- 「情報提供」
- 「動機づけ支援」
- 「積極的支援」
ーなどに階層化し適切な指導を行います。
情報提供対象者には、健康の保持増進に役立つ簡単な食事や運動のアドバイスや、疾病リスクが比較的高い数値(血圧、血糖値等)に関する知っておくべき知識などを健診結果と共に送信されます。
動機づけ支援では、 本人の意識変革によって今後の生活習慣を改善しリスクを軽減させることができると判断された方が対象となります。
具体的にはー
- なぜ生活習慣・食習慣を変えることが必要なのか
- 自分の体がどういった状態にあるのか
- また今後同じ生活を送ることでどのような影響が生まれるのか
ーを伝え、危機感と自覚を持って前向きな行動変容につなげられるよう導いきます。
さらに積極的支援が必要とされた対象者には 動機づけ支援を発展させ、より実践的な食事指導、運動指導を行っていきます。
定期的なアセスメントを行うことで身体状況を把握し、生活に合わせて臨機応変なフォローアップが要です。

特定保健指導と従来の保健指導の違い
重要!!
保健指導は医療機関等で対象者へ向けて数回にわたり指導を行うため、その都度個々の行動変容にあった目標を設定することができますが、特定保健指導は対象者との接触が検診時の1回に限られます。
そのため、 この限られた時間の中で管理栄養士は的確に対象者の身体的な状態や意識レベルを把握し、さらに行動変容へ促すための効果的な目標を決めることが求められます。
目標の決定をする際には、 確実に実践可能であり対象者が負担と捉えない程度のレベルから設定することが大切です。
具体的には、運動習慣が全くない対象者に「毎日1日5㎞走りましょう」とハードルの高い目標を設定せず、まずはー
- 「エスカレーターを使わず階段を利用しましょう」
- 「目的地の1駅前で降りて歩いてみましょう」
ーなどの負担が少なく、対象者が実現している自分を想像できるような目標から始めるとよいでしょう。

特定保健指導で求められるスキル
指導の対象者は検診によって得られたデータにより階層化され、各個人の問題点や身体的な状態は様々です。
特定保健指導を行う管理栄養士には少ない時間の中でもそれぞれの状態に合わせて柔軟に対応し的確な指導を行うことが求められます。
このためにはー
- 疾病に関する幅広い知識
- 対象者との面接で正しく現状を把握する力
- 必要な情報を確実に引き出すカウンセリングスキル
ーが必要です。
より充実したカウンセリングを行うために、日々の日常会話でも相手の話を否定せず話しやすい雰囲気作りを意識して会話の練習を行うとよいでしょう。
しっかり目を見てうなずきながら、「○○なんです。」と対象者が発言した重要だと思われることは反復して「○○なんですね。」と同意・強調して答え、「この人は理解者となってくれる。この人となら頑張れる。」と思わせることで信頼関係を築きながら保健指導を行うことができます。

特定保健指導の具体的なサポート内容と流れ
まず対象者は腹囲とBMIで内蔵脂肪蓄積のリスクを判定されます。
腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上の者、BMIが25以上の者は更に追加リスクをカウントされます。
腹囲、BMIが基準値でリスクがないと判断された場合は、健診結果と共に情報提供が行われます。
追加リスクはー
- (空腹時血糖100㎎/dl以上又はHbA1c5.6%以上)
- (中性脂肪150㎎/dl以上又はHDL-C40㎎/dl未満)
- (収縮期130㎜Hg以上又は拡張期85㎜Hg以上)
ーです。
この追加リスクの中でいくつ該当するかで更に階層化され、喫煙歴の有無により最終的に積極的支援か動機づけ支援どちらの支援内容を行うべきか決定されます。
積極的支援、または動機づけ支援へと振り分けられた対象者にはまず管理栄養士による面接が行われます。
個人支援の場合は20分以上、グループ支援では80分以上で日々の運動習慣や個人の生活に関するヒアリングを行います。
重要!!
このヒアリングで得られた情報をもとに各自に行動目標を設定し、電話、FAX、メールや文書にて継続的な支援を行っていきます。
この支援は約3か月以上行われます。この期間の中で対象者は決められた目標へ向かって食事や生活習慣の見直しを行っていきます。
初回の面接から約6か月ほど経過したのち、電話や面接、メールにて最終的な健康状態、生活習慣の改善状況を確認していきます。

実施していく上で大事なこと
特定保健指導で指導対象となる者の中には、数値的にはメタボリックシンドロームの予備軍とされるが実際は重大な疾病はなく本人の意識が薄いことも珍しくありません。
こういった対象者に対して、 いかにメタボリックシンドロームが将来的に身体へ影響してゆくか自覚と気づきを生み行動変容とつなげられるかが最も大切です。
チェック!!
個人の日々の生活習慣を変えることはたやすいことではありません。
限られた時間の中で対象者との良好な関係を築き、その後の継続的支援も含め管理栄 養士と2人3脚で努力したいと思われるような存在となるためのコミュニケーション能力、長い目で見て継続して行うことが可能であり、更にメタボリックシン ドロームのリスクを確実に軽減させられるような目標を立てることが重要となってきます。